2014年7月3日木曜日

真夏の2日間 - Milford Soundへ その3

前回までのお話はこちらから

森を抜けて着いたのはEglington Valley(エグリントンバレー)だ。とにかくだだっ広い原っぱが雪を頂きに乗せた山々に囲まれているだけのところだが、なぜなのか開放感がすばらしい。まっすぐに抜けている道は高い青い空を仰ぎ見、叫びながら走ってしまう。 満足げなKuzzyさん。

Mirror Lake(ミラー・レイク)という小さな湖があるのでバイクを停めた。道に面していて、木で造られた遊歩道が沿っている。往復5分とかからない。いつも湖面は静かで向こうの山々が映るのだが、今日はそうでもない。そんな時もあるさ。大きなニジマスがゆったりと泳いでいるのが見えた。

続いてLake Gunn(レイク・ガン)という神秘的な湖がある。深い緑の木々にぐるっと囲まれていて、静かな静かなところである。カヤック(カヌー)でゆっくりと水の上の散策もきっと気持ちがいいだろう。キャンプもしても良いところである。テントを張れる良い場所は少ないので早い者勝ちになる。ずっと遅くまで空が暗くならなかった長い夏の夜を憶えている。 この道をノロノロと200mくらい行くと目の前にその湖はある。

まるで天国のようだが実はいい事尽くめではない。美しさの裏にはちゃんと落とし穴がある。厳しい天候と蚊である。厳しい天候は言うまでもなくとてつもない降水量を誇る雨だ。もちろん風も伴う事もある。嵐になると崖崩れもあちこちでしょっちゅう起こっている。 

蚊は嫌だ。Sandflyサンドフライと呼ばれる、ブヨみたいなものなのだが、良ーく見るとその5mmくらいの小さいボディは良くハエに似ている。刺されるととにかく痒い。肌にランディングしてから位置を定めるまで数秒かかり、その後に刺すみたいなので、気がつけば払う事はできるが、気にしてないと「ちくっ」という痛みはないが「かゆっ!」っていう感じになるのだ。

そうなったらもうおしまい。ずっと掻かないようにこらえるのだ。掻くとかゆさが増す感じがするのだ。シャワーなどを浴びて体が温まると思い出したように後から痒くなるのもポイント。 刺されると大きく腫れてしまう人もいるみたいだが、私の場合、赤いポッチができる程で2,3日間痒い思いをする。

現地の人の中には刺され慣れていて、何でもないかのように平気でいる人がいる。生まれた時からきっと1億回くらい刺されていれば、おそらく免疫もできているのだろう。 うちでは日本から輸入しているキンカンが役に立つ。

とにかく、この辺りはそのサンドフライの宝庫である。基本的に森が近くにあるところにはどこにでもいるものなのだ。あるコラムで読んだのだがNZが美しさはこのサンドフライがいるおかげで人が近づかず、だからゴミも捨てられず、きれいに保たれているのではないか、なんていう説もあるくらいだ。 とにかく目の前をうじゃうじゃと黒い羽虫の固まりが浮遊しているとやはり「ウオー」っと叫びたくなる。 

そういう訳で、美しいところではきっとどちらかの意味で「うぉー!」と人々は叫んでいるのかもしれない。

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