ラベル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年3月8日日曜日

雨を避けての5日間ツーリングの最終日。

2015年2月。ツーリング5日目。

今日も天気がいい。素晴らしい。
一晩中開けっ放しにしたドアでも部屋は寒くはなくちょうどよかった。
まだ意外に早い時間に目が覚めてモーターパークの割ときれいなバスルームで顔を洗い周りを散歩した。昨日の夕方と違って誰一人歩いていないGreymouthのビーチだった。

さあ、出発だ。
Hokitika (ホキティカ) まではあっという間、ここで朝食にしよう。以前訪れた時には思いっきりハズレの店に入ってしまって、この町の印象をすっごくがっかりさせてくれたんだけれども、今日はどうだろうか。

ガソリンを入れてからTrip Advisorで見てみる。どこも似たり寄ったりでよく見ないでも一緒だということが分かった。町内を流してみる。そんなに多くない数のストリートなので、あっという間に見て終わる。こないだ車を運転中に見つからなかったCafeが目に飛び込む。ここにしよう。

ここは大当たり。こないだ来れなくて残念でしょうがない。上品にクロワッサンなんかにジャムをつけちゃったりしてお洒落に朝食をとった。

この町の中心にあるアイコンである時計台を360°から見た後、ビーチに行ってみる。この町のもう一つのアイコンである、流木で作った"Hokitika"という大きな文字が砂の上に立っているのだ。

今回行ってみるとちょっと違った。なんでも流木でアートを作るコンペティションがあったらしく、砂浜一面に様々なアートが広がってた。中でもこれが私のお気に入りになった。素晴らしいアイディアだと思う。拍手。
ゆったりとアートを堪能した後、いよいよWestcoast特有の鬱蒼とした森の中を走り始める。車の数は少ないがレンタカーがその5割を占めていると思われるので油断大敵だ。

Ross (ロス)という小さな町がある。金が出て流行ったところらしいが、今はその面影は少ない。現在でもある一家がまだ掘り続けているらしいが。
ここから出発するのか、自転車ツアーがたくさんいた。小さなオレンジの三角の旗を横に車道側に突き出し、走るのだ。バスが行くとこをフォローしているので荷物は水とスナックくらいなのだろうか。たくさんの人たちが点々と自転車をこいで私と同じ方向に向かっている。レンタカーも多いがレンタサイクルも多いということだ。


面白いところがある。一応Cafeなのだが、見てくれはそうではない。外にはでっかいサンドフライが捉えられている。この大行事の詳細は壁に貼ってある。中に入っても異様な雰囲気を醸し出している。冗談が(森の中だけに)盛りだくさんのメニューやらグッズが置いてある。変なもの、くだらないもの見たさにぜひ一度訪れてみたいところだ。
四方八方50kmをを森に囲まれて生活するということはそういうことなのかもしれない。


こういう静かで何の変哲も無い湖が多い。名前も覚えられない。でもそれが特徴と言えるのかもしれない。ちなみにこれはLake Ianthe (レイク・イアンズィ)と呼ぶのだろうか。読み方さえよくわからない。この辺は何度通っても興味がそそられないのは何故なのだろうか。

この後は無心になって走る。森と湖が交互に現れる。Queenstownとかの派手な色の湖と違い森もダークな緑なので目に嬉しいということがない。ただただ緑の芝生と背高ノッポの木々だけが目立つ。自然とはと、意味深いことを考えながら、体で感じながら走るのだ。


あと5分走ればFranz Josef (フランツ・ジョセフ)に着くところだったのに、手前を大きく右に曲がると暗黒の雲が頭上にあり、雨の中に突入した。正確には雲の下に入っていったのだ。結構大粒の雨だ。屋根のあるところまで行くのが先かずぶ濡れになるのが先かだったが屋根の方が近かったようだ。ガソリン入れなかったがここでカッパを着る。
あーあ、とうとう降られてしまった。折角2泊も延長して避けてきたのに。残念でならない。まあ、天気予報を見ればほぼその通りだったのだが。午後も遅くなるほどに雨が上がってくる予定だ。

もうこれからはずっと雨なのだろう、としょぼしょぼと走り始めた。隣のFox Glacier (フォックス・グレーシアー) まではずっと狭いワインディングだ。距離は23kmと短いのにえらく遠く感じる。交通量が多いせいだろう。例の自転車も多かった。

また前方で車が詰まっている。先頭車両がめたくそ遅いのだ。車の運転自体ロクスポできない人がどうしてレンタカーを借りて旅をしようなどと思うのだろうか。その考えがまず理解できない。

その先頭車両は橋の上のそんなにきつくないイエローラインの左カーブで半車分右にはみ出して進んでいる。左側の橋の壁が怖いのだろう。対向車の事はお構い無しに。まったく気が滅入る。

あんなのがブラインドコーナーで目の前から出てきたらお陀仏だろうな。そんな事故が起こったときには一体、誰のせいなのだろうか。

ぶつかる方が悪いのか、ぶつかられた方が悪いのか、海外から来た人も運転できる国の法律が悪いのか。誰が悪くてもただ単に運が悪かったのだけのことなのだろうか。でもこれは果たして、先進国に当てはめていい事柄なのだろうか。考えることは多い。


Foxに着いてガソリンを入れる。今見た車のことをスタンドのおばちゃんと話すと、ウンウンと大きく頷いた。例の車を通報したいので警察署はないかとの私の問いに、たまに来る程度だと言う。この町に警察は必要だと実感した。




ランチを済ますと天気は回復していた。幸い、雲は山にくっついているようだ。ここからはカッパもいらない。やっぱりカッパ着て走るのは好きではない。

ここでもいいカフェに巡り会えた。これは嬉しい。


嬉しい時は結構止まってカメラを取り出すのだ。


まっすぐなところも多い。
森を切り開いて道を作っただろうから、両脇ともものすごい高い木が並んでいる。言ってみればジャングルの中を突き進むのだ。これがWestcoastの醍醐味だ。
実は天気が悪いほうが雰囲気があるのだが、青空だってもちろん悪くない。


海だって見える場所がある。唯一だが。Bruce Bay (ブルース・ベイ) だ。
ここにもHokitikaに負けないくらいの個人アートがあるが、それはとてもつまらなく石をまっすぐに積んだだけの見た目も良くないものたちだ。

昔、車で来た時には大荒れの天気でバシャバシャと波が道に掛ってて度肝を抜かれたけども。



しばらく行くと通行止になった。 橋の工事だと。10分も止まらされた。雨が降ってなくてよかったなあと思った。何もすることがなく、交通係のおじさんが目の前で遅めのランチのサンドイッチを飲み込むように食べていたのを見ていた。


いよいよHaast (ハースト)に着く。
携帯は未だに圏外の村だ。未だにこの町はそういう町なのだ。身隠れしたくなったら来ればいいところだ。

昔の首相は休みの日に趣味のクロスカントリースキーをするのが良いと言っていたらしい。健康的だし、第一、電波が届かないので誰からも捕まらないからと。この国の首相の言葉らしい。

2台のバイクとトイレで会って、情報交換。
私の行く方向から来たらしく、天気は大丈夫だったと言っていた。目の前が結構グレーで暗かったので心配していたのだ。
彼らは先ほどのBruce Bayまで行くと言っていた。宿なんかあったかな。

そういえば、蜂除けにバンダナを腕に巻くことにした。これなら入ってこれまい。
というか、ここHaastにはいないが峠を越えてから通るWanakaの辺りの対策だ。あの辺はブンブンしているはず。バッチリ準備して、また走り出す。

久々のHaastの峠はほとんど交通量がなく、すっと通り過ぎられた。
見所のある要所の滝も今回はパス。グレーの空では絵にならない。おかげで早く帰れるな、なんて思った。

Wanaka を通り過ぎてすぐにポツポツとやってきた。良いことといえば蜂の心配はなさそうだ。雨の中には飛び回らないのだろう。Crown Range (クラウン・レンジ)峠の上はすっごいグレー空だ。

そのまま行けるかなと思った途端、大粒になり諦めて、大木の下でカッパをまた取り出した。あとちょっとで家だけにとっても悔しい。カッパを着ている間に、確か、Greymouthで宿泊していたと思われる2台のバイクが目の前を過ぎ去っていった。彼らも時間的にきっと今日はQueenstownが宿泊先なのだろう。一日に500km越えの道程はなかなかだ。

峠の山頂に着くまでには雨も上がり、下りは晴天の下を楽しく走れた。もうすぐ家だ。


家に着くといつも遊びに来ている地元の友人達がいつものように食事をたくさん準備して待っていてくれていた。

こうして、3日間で帰るはずのツーリングが5日間になってしまい、無事に帰還した。振り返るととても長く感じた5日間で、とってもいい夏休みになった。

この旅でお世話になった友人たちには全く頭が上がらない。素晴らしい友人たちに私は支えられて、わがまましたい放題に生きているのである。妻にも感謝だ。

またやろうっと思った。



2015年3月2日月曜日

今日の寝床はどこだ。三者択一。

2015年2月。昨日の続き。

実は天気予報がずれたようだ。半日早く雨が来る。このまま西側へ出て南に下ると今日はきっと大丈夫だが、次の日は丸一日、思いっきりヘビーなレインにやられてしまいそうで、走れそうにない。というか土砂降りの中を走りたくはない。

となると、部屋から出ないで閉じこもり、ウエストコーストの超つまらない村で2泊もしなくてはなりそうな気配。うーん。

Arthur's Passで天気をチェックしてから走りながらそう考えた。なんとあんな所で3G電波が来ていることに驚いたが。すごいのね、最近は。まあ、あれだけ交通量があるのならば当然と言えば当然だが。

ところで、今日泊まるところだ。うーん。

Greymouth (グレイマウス)とかHokitika (ホキティカ) とかいうのは町は町だが過去にいい思い出がない。両方とも泊まったことがあるのだが、飯が外れっぱなしだし。やっぱり旅の間はまずいものを食いたくはない。その印象がそのままその場所の印象と刷り込まれてしまう気がするからだ。

Franz Josef (フランツ・ジョセフ)には大きなスパがあっていいけど、とかFox Glacier (フォックス・グレーシアー)までは今からだとすると、ちょっと距離がありすぎる。

そしてその間には何も町がない。どこか小さなパブがキャンプ場からなにから兼ねてるところがあるかもしれないが、Webで探して果たして出てくるような所なのだろうか。いやあ、数はないけど、きっと時間の無駄になる。というか、そこで更に丸一日過ごすのは無理だ。

であれば、
1.来た道を戻る。
2.違うところに抜ける。
3.棒に振る。

3はとりあえず諦めの奥の手として、
1の来た道を戻ると天気的に問題はなさそうだ。東側はずっと晴れているみたいだ。でも、来た道を戻るのは旅っぽくないし、どうしてもこの峠を縦断したい。

2の違うところと言えば南じゃなければ北にしか道はない。分岐点のGreymouthあたりに止まってしまっては明日は雨だ。雨が来ないくらい北上しなくてはならない。


ふと気がつくと道の右側に線路がある。有名な?Tranz Alpine (トランツ・アルパイン)という列車だ。Christchurch とGreymouthを一日一回往復している観光列車だ。峠の頂上に駅があったが、ずっと道路と並行しているわけではなく、一番美味しい景色の峠の辺りはトンネルなのだろう、ずっと姿を見ることなかった線路が丸見えになる。

それに今度は沿っていくように走っていくと行ったことがなかったが、たまに聞いたことのある湖の名で楽しみにしていたLake Brunner (レイク・ブラナー)がある。

ちょうどそこに向かっている途中の牧草の向こう側からそんなに長くない客車を引く列車がごとごとと走ってきた。走っていたのでカメラを出すヒマがなかった。てっちゃんて言うわけでもないけども、動く物体を撮影するのは嫌いな方ではないので、残念。



さて、北上するならどこに行くのか。と、またここで頭の中で思いを巡らす。周りが平らになって考える余裕が出てきたのだろう。

そうだ、とバイクを何もない平らな道路の脇に止め、ふとしばらく会っていないNelson (ネルソン)の近くのMotueka (モトゥエカ)の友人に「泊めて」と携帯からメッセージを送ってみた。

ちょっとしてから、急なお願いに快諾してくれたかわからないけども、OKをありがたくいただき、目指す方向が決まった!
アクセルを握る右手に力が入った。

レイク・ブラナーに着いてみると、ここは木々が水面からたくさん生えていて異様な風景だった。写真をしっかり撮る事もなく通り過ぎてしまったのは、泊まるところがようやく決められて、あんまり集中していなかったからだろう。


ようやく下界へ降りてきた感じでSH7に当たる。峠の縦断の目的は達成された。
鉄道は左へ折れてGreymouthへと向かうが、私は反対の右に行く。
考えてみれば、友人宅まではまだ300km弱ある。南島の下のほうに住んでいると真ん中より上の方はみんなほとんど同じような距離の感覚にある自分が情けない。



世の中にはいろんなコレクターがいるが、特にこのあたりの人たちはそれを「これでもか」と門の前に飾るのが好きなようである。



でも、徹底的に綺麗にやるわけじゃないところがまた、その土地の気候の雰囲気を出している。

写真はないが、他にも古〜いサビサビの同じようなトラックが数台並んでたり、やっぱり錆びた自転車がずらっと並んでたり、靴が何百足も塀に絡まってたり、挙げ句の果ては便器がズラーッと並んでたりする。
別に便器屋さんじゃないと思うのだが。ひょっとしたらペンキ屋さん? まさか、日本のダジャレはわからないだろうし。

ちなみにうちの近くの塀にはブラジャーがズラーッと並んでいるところもある。これは人が勝手に置いていくのであって、地主のコレクションじゃないのだが。

こういうディスプレイはKiwiの魂なのだろうか??
そのうち写真図鑑でも出してみようだろうか。


その後、無心に走り続けてMurchison (マーチソン)という村に違いない名前の土地に着く。
その前に給油してからまだ120kmくらいしか走ってないので、入れなくてもよかったかもしれないのだが、入れておく。

ついでに、隣のカフェでコーヒーを。
で、ゆったり休んでから乗り込もうとハーレーに近寄ると、テールライトが点いているのに気づいた。

え? 鍵は右のポケットに入っている。
ヤバ、と鍵を突っ込んでセルスイッチを押すが何も言わない。
ゲ、ライトがオンのまま、鍵を抜いてしまったのだ。そんなことできるのか?やったことがなかっただけなのか。

まあ、いい、隣がガソリンスタンドだ。なんとかなるが、問題はバイクの停めた位置だ。
出やすいようにといつものようにバックして入れたのはいいが、そこはちょっときつめの勾配が着いている。まちがいなく一人じゃ押せない。

運良く、コーヒーを待っているBMWのバイクのおじさんがいたので声をかけて助けてもらった。ガソリンスタンドでバッテリーを借りて一発! あーよかった。

バッテリーをバイクまで持って行けばよかったのだが、どうしても貸してくれなかったのだ。道路向かいに停まっていたのに持ってこいと言われた。まあ、見ず知らずの人に、ってことなのだろうな。助けてもらってあれこれ言うのもなんだが。私は悪いやつなのだ。


もう一つの長い森も抜け、Motuekaまでもう一息。
これはビールのホップの畑。あまり見るものでもないのだ。 地ビールはあちこちたくさんあるのに。



川沿いを気持ちよく走る。
その時だった!

なんと、また!
右手に激痛が!

そっとジャケットを脱ぐとポトっと蜂が落ちた。しかもWASP!
しかも昨日刺されたところと3cmしか離れていないようなところ。

フガーッと一人でやった後、昨日買ったプロポリスが革ジャンのポケットに入れておいたことを思い出し、すかさずピトッと垂らした。

実は昨日プロポリスを買うときにお店にあったサンプルを一滴つければいいかななんて一瞬思ったんだけども。買っておいて良かったとこれほど思ったことはない。これからは必需品。




痛みはあったのだが、すぐに走り出した。夕焼けになってき始めている。
でも、この橋の美しさを見つけた時に撮らずにはいられなかった。


きっと私は人に迷惑かけるたび、蜂に刺される運命なのだろう。


ツーリング3日目につづく。



2015年2月27日金曜日

晴れ三昧の幸福日和? ツーリング初日。

2015年2月。
いざ出発である。

この夏、この時期にしてようやくロングツーリングができそうな時間ができた。天気予報を見ると今日明日は晴れで、うまいこと2日目の夜に雨が通り、3日目の走りには影響がなさそうだ。

Arthur's Pass(アーサーズ・パス) という峠が南島のほぼ真ん中を北西から南東にかけて貫通しているのだが、この道だけハーレーで抜けたことがなく、今回はここを通ることを目的とした。

出発前日に打電して新たなハーレー乗りになったMethven (メスベン)に住む友人RとTekapo (テカポ)でランチの為に1時頃に現地集合することにした。クイーンズタウンからは大体3時間、メスベンからは大体2時間弱の 距離。ちなみにRはまだ航続で100kmも走ったことがないという。彼にとっては初ツーリングみたいなものだ。これは楽しいイベントになりそうだ。


この時期、ホリデーなので、交通量が非常に多い。しかも海外旅行客のレンタカーが半分を占めているんじゃないかと気がするほど多い。ホリデー時の事故が多いのも当たり前である。特に中国、インドからやってくる人々の運転は非常に迷惑で恐怖であるので、本当に気をつけなくてはならない。モラルや交通ルールを守れないという問題だけではなく、人によっては車の動かし方自体が怪しく、左車線に留まれなかったり、ハイスピードに慣れていなかったりと、そもそもの問題であるから怖い。

何台もそんな車を前に後ろに対向車に見ながらクイーンズタウン近郊を抜ける。珍しくワイン畑で一枚。まだぶどうの身は小さいようだ。


しばらく行くと10台くらいの車の一団がいた。先頭車両が遅いのだがその後に付いている2台目、3台目も技量がないのか、抜けないでいるのだが車間が詰まっていて、抜く気満々のその後ろの車達が抜けないでいる。そうなると全体のスピードは先頭車両の速さで決まってしまう。法定速度では100km/hなのだが、大抵そういう車は80km/hそこそこで走っている。このまま1時間も走り続けられたら20kmも距離が違うのだ。本日400km走る予定の私は付き合いきれない。第一、ランチタイムが終わってしまうかもしれないではないか。

広い所で一挙にごぼう抜きしていくことができるのはバイクならでは。車の長さと幅ではこうは出来ない。やっと普通の巡行に移ることができてしばらくすると写真タイムだ。Lindis Pass (リンディス・パス)という峠だ。観光スポットになっていて、近年できた見晴台まであるが、そこを通り越して下から眺めることにした。でも写真は下向きに撮ってみた。

そして撮ってる間にさっき抜いた一行に抜かれてしまった。


ここを抜けると今度は真っ平らまっすぐな道がグーンとOmarama (オマラマ)
まで続くのである。車の一行の車間も順序もまちまちになってくることだろう。

私は見晴らしのいいストレートを走るとき、時々周りの景色に圧倒されてスロットルを緩めて進むことがある。80km/hくらいで流すとエンジンの鼓動がゆったりとなり、とても心地よいのだ。いわゆる昇天している感じと言えばいいのだろうか。

先ほどまでブチ抜いてきた車たちが不思議な顔して私の横を追い越していく。

ということで、また一枚。大乾燥地帯がやっぱり乾燥していた。
実はシーズン初めはなんとこの土地が芝生で真緑だったのだ。目を疑ったくらい信じられなかった。こんなところでそんなことは可能なのだろうかと思ったものだ。が、やっぱり元の茶色に戻っていた。緑は美しいが、この茶色の風景に見慣れてしまっていて、緑だと違和感がある。





大快晴に恵まれて最高峰のMt Cook (マウント・クック)も絶好調に光ってた。手前のブルーグリーンのLake Pukaki (レイク・プカキ)もすごい色を放ってた。





テカポのほんの一息手前の荒涼としたところもなぜか好きだ。なんもない大地に道路と平行に点々と電信柱が立っている。あの電信柱の切なさが好きなのかもしれない。悪天候にもめげずに立っているのだ、何も言わずに。昔見た日本のCMであった三丁目の電柱の歌を思い出した。





やっぱりハーレーはマフラーが見えるのでこちら側のアングルが好きだ。


予定より25分くらい遅れて(勝手に私はもともと遅れる予定にしていた)テカポに到着、友人Rもちょうど着いたばかりだと言ってくれた。10分くらいの差だったと思う。

久々の再会でテカポ名物サーモン丼を頬張りながらお互いの近況報告をする。ネットの力で離れていても結構お互いの近況を知っているものである。実際に会ったときはその詳細について聞くという会話の方向に時代は変わりつつあると感じる。

天気も最高だし、折角なので、近くの天文台があるMt John (マウント・ジョン) に登ることにする。もちろんバイクで。舗装路だけど、道が狭く急な坂でヘアピンも多いので、Rは躊躇したけども、もし一人だったら行かないだろうということもあり、行くことにした。

Rはそこそこ苦労しながらもちゃんと登ってきた。その見返りは素晴らしい景色だった。





初ツーリング記念にRの勇姿も撮って土産とした。
撮影のためにRはこの狭い道でUターンをしてきたのだが、おぼつかないその姿を遠く離れて見ていてもひどく滑稽だった。シート幅が私のと比べて広く、跨ると彼の背では両つま先ツンツン立ちなので、まだしょうがない。そのうち慣れてくるでしょう。





超ゆっくり下山してくるRをしばらく待ってから一緒に走り出すことすぐ、私の右腕に激痛が走った。前に覚えのある痛さだ。また蜂に刺された。この時期、蜂は活発に動き、しかも量が半端じゃない。確かに私の上下の革にはたくさんの蜂が当たった跡がある。袖口から入る確率を考えれば低いはずなのだが、ハンドル位置と角度でちょうど袖が正面を向いているとは言え、全く良く入るものだ。宝くじもこのくらい当たると良いのだが。

みるみる腫れてきたので、Rを置きざりにして、痛い右手でスロットルとブレーキをコントロールしながらテカポの町まですっ飛んで戻り、お土産屋に飛び込んだ。薬局などないのだ、この小さな町は。そこで手に入れたのが、プロポリスの原液。
これをたらっと一滴すると治りが早いと言われている。元々蜂が集めたものなので、毒を以て毒を制するというアイディアからきているのかもしれない。


その後、痛さは治まり痒さに変わって熱をずっと持ち続けた。その晩は腕をかきかきしながらRのシェフである奥さんの作ってくれた美味しいご飯をいただいた。

全体的に観れば幸せな日であったがその幸せぶりに”バチが当たった”のだろうか。

つづく。



2014年12月7日日曜日

虫とJazzと。

朝の雲がすっ飛ぶと青空が広がり始めた。午後になると気温もぐっと上がり始め、典型的な夏の晴れの日になった。こんな日は出かけるに限る。

どこに行こうか、と暖機運転を終わったSportsterは気まぐれに町の方面に向かった。70km/hの公道はホリデーのレンタカーが多い。いよいよ本格的に夏がやってきたのだ。

町をくぐり抜け、田舎道へとすっ飛ばす。とはいえ、こちらも車が多い。週末というのはあんまり関係ないのがこの観光地の特徴。世界中からやってくる旅行者は毎日がホリデーなのだから。

こんなに天気のいい日だ、観光客もさぞ楽しんでくれているだろう。
町から15分のところにあるビーチでは早くも水遊びをする人々で賑わっていた。湖だけど、まるで海みたいな感じで楽しんでいる。

横に停めた私もほんのりとそれを眺めて楽しんだ。
しかし、嬉しいことに、止まっていると暑く感じる。夏が本当にやってきた感じだ。


あまりに気分がいいので更に奥に走り出す。久々に乗ったこともあり、アクセルの開け具合が良すぎるくらいだ。あまりしないが高回転でワインディングを右に左に傾ける。絶好調、な感じだ。

いつもの見晴台Bennet's Bluff(ベネッツ・ブラフ)という崖の上までもうちょっとというところ、又しても右腕に「ぢくっ」という痛みが走る。袖口からまた蜂が入ったのだろうか?!

革ジャンの下はTシャツ一枚だ。手首から10cmくらい肘の方に痛みを感じた。パーキングにバイクを止めると、さらに虫を刺激して刺されることのないように体をなるべく動かさないようにヘルメットとグローブをはずし、革ジャンをそーっと脱いだ。

ジャンパーの右腕の中を覗くとなにもいない。しかし、右腕は「ここ、刺しました」みたいに直径1cmほど膨れている。でも、どうやら蜂ではなさそうだ。 なら、なんなんであろうか。ホッとするやらしばし休憩とする。

いつ来てもいいが、今日もいい。

すぐに私のハーレーの後ろに停めたFordのセダンからお腹はぽこんと出ているが、ピンクのポロを着たオシャレなおじさんが出てきた。ドアが開けっ放しの車のステレオからブルーノートでかかるような(知らないけど)とても気持ちのいいジャズが漏れてきた。

真夏の暑い日差しの下で、しばしこの風景とジャズのセッションを楽しんだ。
おじさんはこのジャズを聴きながらここまで来たんだなあとおじさんのドライビングを想像してみたりした。




そのおじさんはさらに先のGlenorchy(グレノーキー)方面へ進み、私はここで折り返すことにした。

折り返しても車は減らない。もう帰り組の車が多いのだ。ランチを食べて戻って来る時間だ。数台をさらっと余裕のある追い越しでかわした。ホリデー車には気をつけるに越したことがない。

5分後、私のヘルメットの中のSenaのインターコムのスピーカーで Red Hot Chili Peppers が吠え始めた頃、なんと今度は右の肩、背中寄りに「ぢくっ」とまた刺されたようだ。

私は体を斜めに硬直させ、みじんも動かないようにワインディングを1分ほど走り抜けるが、まだもぞもぞと何かが肩で動いている感じがする。反対車線の広めの路側帯を見つけて飛び込んだ。

さっきと同じようにそうっと革ジャンを脱いで地面に叩きつけるように捨てたが、まだちくっとする気がする。なので着ていたTシャツも脱ぎ、半狂乱のように革ジャンとTシャツを交互にぐるぐる回しバタバタと振った。

その時、先ほど抜かしていった車が私の横をすり抜けて行ったが、きっと彼らは私を危ない人と思ったに違いない。弁解の余地もなく私は彼らの思い出の1ページとなるのだろうな。

結局、革ジャンからもTシャツからも何も出てきた形跡がなく、一体何ものだったのかがわからないが、運よく止めた場所が綺麗で今日一番の写真を一枚抑えることができた。

夏は虫も私も踊り出す。
いい季節になった。