2015年3月2日月曜日

今日の寝床はどこだ。三者択一。

2015年2月。昨日の続き。

実は天気予報がずれたようだ。半日早く雨が来る。このまま西側へ出て南に下ると今日はきっと大丈夫だが、次の日は丸一日、思いっきりヘビーなレインにやられてしまいそうで、走れそうにない。というか土砂降りの中を走りたくはない。

となると、部屋から出ないで閉じこもり、ウエストコーストの超つまらない村で2泊もしなくてはなりそうな気配。うーん。

Arthur's Passで天気をチェックしてから走りながらそう考えた。なんとあんな所で3G電波が来ていることに驚いたが。すごいのね、最近は。まあ、あれだけ交通量があるのならば当然と言えば当然だが。

ところで、今日泊まるところだ。うーん。

Greymouth (グレイマウス)とかHokitika (ホキティカ) とかいうのは町は町だが過去にいい思い出がない。両方とも泊まったことがあるのだが、飯が外れっぱなしだし。やっぱり旅の間はまずいものを食いたくはない。その印象がそのままその場所の印象と刷り込まれてしまう気がするからだ。

Franz Josef (フランツ・ジョセフ)には大きなスパがあっていいけど、とかFox Glacier (フォックス・グレーシアー)までは今からだとすると、ちょっと距離がありすぎる。

そしてその間には何も町がない。どこか小さなパブがキャンプ場からなにから兼ねてるところがあるかもしれないが、Webで探して果たして出てくるような所なのだろうか。いやあ、数はないけど、きっと時間の無駄になる。というか、そこで更に丸一日過ごすのは無理だ。

であれば、
1.来た道を戻る。
2.違うところに抜ける。
3.棒に振る。

3はとりあえず諦めの奥の手として、
1の来た道を戻ると天気的に問題はなさそうだ。東側はずっと晴れているみたいだ。でも、来た道を戻るのは旅っぽくないし、どうしてもこの峠を縦断したい。

2の違うところと言えば南じゃなければ北にしか道はない。分岐点のGreymouthあたりに止まってしまっては明日は雨だ。雨が来ないくらい北上しなくてはならない。


ふと気がつくと道の右側に線路がある。有名な?Tranz Alpine (トランツ・アルパイン)という列車だ。Christchurch とGreymouthを一日一回往復している観光列車だ。峠の頂上に駅があったが、ずっと道路と並行しているわけではなく、一番美味しい景色の峠の辺りはトンネルなのだろう、ずっと姿を見ることなかった線路が丸見えになる。

それに今度は沿っていくように走っていくと行ったことがなかったが、たまに聞いたことのある湖の名で楽しみにしていたLake Brunner (レイク・ブラナー)がある。

ちょうどそこに向かっている途中の牧草の向こう側からそんなに長くない客車を引く列車がごとごとと走ってきた。走っていたのでカメラを出すヒマがなかった。てっちゃんて言うわけでもないけども、動く物体を撮影するのは嫌いな方ではないので、残念。



さて、北上するならどこに行くのか。と、またここで頭の中で思いを巡らす。周りが平らになって考える余裕が出てきたのだろう。

そうだ、とバイクを何もない平らな道路の脇に止め、ふとしばらく会っていないNelson (ネルソン)の近くのMotueka (モトゥエカ)の友人に「泊めて」と携帯からメッセージを送ってみた。

ちょっとしてから、急なお願いに快諾してくれたかわからないけども、OKをありがたくいただき、目指す方向が決まった!
アクセルを握る右手に力が入った。

レイク・ブラナーに着いてみると、ここは木々が水面からたくさん生えていて異様な風景だった。写真をしっかり撮る事もなく通り過ぎてしまったのは、泊まるところがようやく決められて、あんまり集中していなかったからだろう。


ようやく下界へ降りてきた感じでSH7に当たる。峠の縦断の目的は達成された。
鉄道は左へ折れてGreymouthへと向かうが、私は反対の右に行く。
考えてみれば、友人宅まではまだ300km弱ある。南島の下のほうに住んでいると真ん中より上の方はみんなほとんど同じような距離の感覚にある自分が情けない。



世の中にはいろんなコレクターがいるが、特にこのあたりの人たちはそれを「これでもか」と門の前に飾るのが好きなようである。



でも、徹底的に綺麗にやるわけじゃないところがまた、その土地の気候の雰囲気を出している。

写真はないが、他にも古〜いサビサビの同じようなトラックが数台並んでたり、やっぱり錆びた自転車がずらっと並んでたり、靴が何百足も塀に絡まってたり、挙げ句の果ては便器がズラーッと並んでたりする。
別に便器屋さんじゃないと思うのだが。ひょっとしたらペンキ屋さん? まさか、日本のダジャレはわからないだろうし。

ちなみにうちの近くの塀にはブラジャーがズラーッと並んでいるところもある。これは人が勝手に置いていくのであって、地主のコレクションじゃないのだが。

こういうディスプレイはKiwiの魂なのだろうか??
そのうち写真図鑑でも出してみようだろうか。


その後、無心に走り続けてMurchison (マーチソン)という村に違いない名前の土地に着く。
その前に給油してからまだ120kmくらいしか走ってないので、入れなくてもよかったかもしれないのだが、入れておく。

ついでに、隣のカフェでコーヒーを。
で、ゆったり休んでから乗り込もうとハーレーに近寄ると、テールライトが点いているのに気づいた。

え? 鍵は右のポケットに入っている。
ヤバ、と鍵を突っ込んでセルスイッチを押すが何も言わない。
ゲ、ライトがオンのまま、鍵を抜いてしまったのだ。そんなことできるのか?やったことがなかっただけなのか。

まあ、いい、隣がガソリンスタンドだ。なんとかなるが、問題はバイクの停めた位置だ。
出やすいようにといつものようにバックして入れたのはいいが、そこはちょっときつめの勾配が着いている。まちがいなく一人じゃ押せない。

運良く、コーヒーを待っているBMWのバイクのおじさんがいたので声をかけて助けてもらった。ガソリンスタンドでバッテリーを借りて一発! あーよかった。

バッテリーをバイクまで持って行けばよかったのだが、どうしても貸してくれなかったのだ。道路向かいに停まっていたのに持ってこいと言われた。まあ、見ず知らずの人に、ってことなのだろうな。助けてもらってあれこれ言うのもなんだが。私は悪いやつなのだ。


もう一つの長い森も抜け、Motuekaまでもう一息。
これはビールのホップの畑。あまり見るものでもないのだ。 地ビールはあちこちたくさんあるのに。



川沿いを気持ちよく走る。
その時だった!

なんと、また!
右手に激痛が!

そっとジャケットを脱ぐとポトっと蜂が落ちた。しかもWASP!
しかも昨日刺されたところと3cmしか離れていないようなところ。

フガーッと一人でやった後、昨日買ったプロポリスが革ジャンのポケットに入れておいたことを思い出し、すかさずピトッと垂らした。

実は昨日プロポリスを買うときにお店にあったサンプルを一滴つければいいかななんて一瞬思ったんだけども。買っておいて良かったとこれほど思ったことはない。これからは必需品。




痛みはあったのだが、すぐに走り出した。夕焼けになってき始めている。
でも、この橋の美しさを見つけた時に撮らずにはいられなかった。


きっと私は人に迷惑かけるたび、蜂に刺される運命なのだろう。


ツーリング3日目につづく。



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