2015年3月8日日曜日

雨を避けての5日間ツーリングの最終日。

2015年2月。ツーリング5日目。

今日も天気がいい。素晴らしい。
一晩中開けっ放しにしたドアでも部屋は寒くはなくちょうどよかった。
まだ意外に早い時間に目が覚めてモーターパークの割ときれいなバスルームで顔を洗い周りを散歩した。昨日の夕方と違って誰一人歩いていないGreymouthのビーチだった。

さあ、出発だ。
Hokitika (ホキティカ) まではあっという間、ここで朝食にしよう。以前訪れた時には思いっきりハズレの店に入ってしまって、この町の印象をすっごくがっかりさせてくれたんだけれども、今日はどうだろうか。

ガソリンを入れてからTrip Advisorで見てみる。どこも似たり寄ったりでよく見ないでも一緒だということが分かった。町内を流してみる。そんなに多くない数のストリートなので、あっという間に見て終わる。こないだ車を運転中に見つからなかったCafeが目に飛び込む。ここにしよう。

ここは大当たり。こないだ来れなくて残念でしょうがない。上品にクロワッサンなんかにジャムをつけちゃったりしてお洒落に朝食をとった。

この町の中心にあるアイコンである時計台を360°から見た後、ビーチに行ってみる。この町のもう一つのアイコンである、流木で作った"Hokitika"という大きな文字が砂の上に立っているのだ。

今回行ってみるとちょっと違った。なんでも流木でアートを作るコンペティションがあったらしく、砂浜一面に様々なアートが広がってた。中でもこれが私のお気に入りになった。素晴らしいアイディアだと思う。拍手。
ゆったりとアートを堪能した後、いよいよWestcoast特有の鬱蒼とした森の中を走り始める。車の数は少ないがレンタカーがその5割を占めていると思われるので油断大敵だ。

Ross (ロス)という小さな町がある。金が出て流行ったところらしいが、今はその面影は少ない。現在でもある一家がまだ掘り続けているらしいが。
ここから出発するのか、自転車ツアーがたくさんいた。小さなオレンジの三角の旗を横に車道側に突き出し、走るのだ。バスが行くとこをフォローしているので荷物は水とスナックくらいなのだろうか。たくさんの人たちが点々と自転車をこいで私と同じ方向に向かっている。レンタカーも多いがレンタサイクルも多いということだ。


面白いところがある。一応Cafeなのだが、見てくれはそうではない。外にはでっかいサンドフライが捉えられている。この大行事の詳細は壁に貼ってある。中に入っても異様な雰囲気を醸し出している。冗談が(森の中だけに)盛りだくさんのメニューやらグッズが置いてある。変なもの、くだらないもの見たさにぜひ一度訪れてみたいところだ。
四方八方50kmをを森に囲まれて生活するということはそういうことなのかもしれない。


こういう静かで何の変哲も無い湖が多い。名前も覚えられない。でもそれが特徴と言えるのかもしれない。ちなみにこれはLake Ianthe (レイク・イアンズィ)と呼ぶのだろうか。読み方さえよくわからない。この辺は何度通っても興味がそそられないのは何故なのだろうか。

この後は無心になって走る。森と湖が交互に現れる。Queenstownとかの派手な色の湖と違い森もダークな緑なので目に嬉しいということがない。ただただ緑の芝生と背高ノッポの木々だけが目立つ。自然とはと、意味深いことを考えながら、体で感じながら走るのだ。


あと5分走ればFranz Josef (フランツ・ジョセフ)に着くところだったのに、手前を大きく右に曲がると暗黒の雲が頭上にあり、雨の中に突入した。正確には雲の下に入っていったのだ。結構大粒の雨だ。屋根のあるところまで行くのが先かずぶ濡れになるのが先かだったが屋根の方が近かったようだ。ガソリン入れなかったがここでカッパを着る。
あーあ、とうとう降られてしまった。折角2泊も延長して避けてきたのに。残念でならない。まあ、天気予報を見ればほぼその通りだったのだが。午後も遅くなるほどに雨が上がってくる予定だ。

もうこれからはずっと雨なのだろう、としょぼしょぼと走り始めた。隣のFox Glacier (フォックス・グレーシアー) まではずっと狭いワインディングだ。距離は23kmと短いのにえらく遠く感じる。交通量が多いせいだろう。例の自転車も多かった。

また前方で車が詰まっている。先頭車両がめたくそ遅いのだ。車の運転自体ロクスポできない人がどうしてレンタカーを借りて旅をしようなどと思うのだろうか。その考えがまず理解できない。

その先頭車両は橋の上のそんなにきつくないイエローラインの左カーブで半車分右にはみ出して進んでいる。左側の橋の壁が怖いのだろう。対向車の事はお構い無しに。まったく気が滅入る。

あんなのがブラインドコーナーで目の前から出てきたらお陀仏だろうな。そんな事故が起こったときには一体、誰のせいなのだろうか。

ぶつかる方が悪いのか、ぶつかられた方が悪いのか、海外から来た人も運転できる国の法律が悪いのか。誰が悪くてもただ単に運が悪かったのだけのことなのだろうか。でもこれは果たして、先進国に当てはめていい事柄なのだろうか。考えることは多い。


Foxに着いてガソリンを入れる。今見た車のことをスタンドのおばちゃんと話すと、ウンウンと大きく頷いた。例の車を通報したいので警察署はないかとの私の問いに、たまに来る程度だと言う。この町に警察は必要だと実感した。




ランチを済ますと天気は回復していた。幸い、雲は山にくっついているようだ。ここからはカッパもいらない。やっぱりカッパ着て走るのは好きではない。

ここでもいいカフェに巡り会えた。これは嬉しい。


嬉しい時は結構止まってカメラを取り出すのだ。


まっすぐなところも多い。
森を切り開いて道を作っただろうから、両脇ともものすごい高い木が並んでいる。言ってみればジャングルの中を突き進むのだ。これがWestcoastの醍醐味だ。
実は天気が悪いほうが雰囲気があるのだが、青空だってもちろん悪くない。


海だって見える場所がある。唯一だが。Bruce Bay (ブルース・ベイ) だ。
ここにもHokitikaに負けないくらいの個人アートがあるが、それはとてもつまらなく石をまっすぐに積んだだけの見た目も良くないものたちだ。

昔、車で来た時には大荒れの天気でバシャバシャと波が道に掛ってて度肝を抜かれたけども。



しばらく行くと通行止になった。 橋の工事だと。10分も止まらされた。雨が降ってなくてよかったなあと思った。何もすることがなく、交通係のおじさんが目の前で遅めのランチのサンドイッチを飲み込むように食べていたのを見ていた。


いよいよHaast (ハースト)に着く。
携帯は未だに圏外の村だ。未だにこの町はそういう町なのだ。身隠れしたくなったら来ればいいところだ。

昔の首相は休みの日に趣味のクロスカントリースキーをするのが良いと言っていたらしい。健康的だし、第一、電波が届かないので誰からも捕まらないからと。この国の首相の言葉らしい。

2台のバイクとトイレで会って、情報交換。
私の行く方向から来たらしく、天気は大丈夫だったと言っていた。目の前が結構グレーで暗かったので心配していたのだ。
彼らは先ほどのBruce Bayまで行くと言っていた。宿なんかあったかな。

そういえば、蜂除けにバンダナを腕に巻くことにした。これなら入ってこれまい。
というか、ここHaastにはいないが峠を越えてから通るWanakaの辺りの対策だ。あの辺はブンブンしているはず。バッチリ準備して、また走り出す。

久々のHaastの峠はほとんど交通量がなく、すっと通り過ぎられた。
見所のある要所の滝も今回はパス。グレーの空では絵にならない。おかげで早く帰れるな、なんて思った。

Wanaka を通り過ぎてすぐにポツポツとやってきた。良いことといえば蜂の心配はなさそうだ。雨の中には飛び回らないのだろう。Crown Range (クラウン・レンジ)峠の上はすっごいグレー空だ。

そのまま行けるかなと思った途端、大粒になり諦めて、大木の下でカッパをまた取り出した。あとちょっとで家だけにとっても悔しい。カッパを着ている間に、確か、Greymouthで宿泊していたと思われる2台のバイクが目の前を過ぎ去っていった。彼らも時間的にきっと今日はQueenstownが宿泊先なのだろう。一日に500km越えの道程はなかなかだ。

峠の山頂に着くまでには雨も上がり、下りは晴天の下を楽しく走れた。もうすぐ家だ。


家に着くといつも遊びに来ている地元の友人達がいつものように食事をたくさん準備して待っていてくれていた。

こうして、3日間で帰るはずのツーリングが5日間になってしまい、無事に帰還した。振り返るととても長く感じた5日間で、とってもいい夏休みになった。

この旅でお世話になった友人たちには全く頭が上がらない。素晴らしい友人たちに私は支えられて、わがまましたい放題に生きているのである。妻にも感謝だ。

またやろうっと思った。



4 件のコメント:

  1. たいていの写真は人物が写っていない寂しそうなものばかり。そんな中、自慢のハーレーが主人公。プロの写真家ということなので意図的なのだろう。文章も写真もひととおりのパターンにはまって独特な世界を築き上げている。でも何か物足りない。それはなんだろう。きっとそれは、あまりに良い子の楽しい世界で大失敗や深刻な事態を読者に面白く読ませるような描写が欠けているためだろう。でも、それも著者の意図なのかもしれない。すばらしい世界での自己満足を読者にも共有してもらうのが目的ならば、それはそれで良いのかもしれない。でも、文章の表現方法を工夫すれば、もっともっと読者を楽しませることができるだろう。文体を少し変えて読者を笑わせるような企画はないのだろうか。

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  2. 頑張ってください。楽しみにしてます。そのうち匿名じゃなくて何かペンネームを考えようかな。ハーレーじゃないけど実は僕もライダーですよん。4気筒と2気筒の2台持ってます。4気筒のほうはもう22年乗ってますが、まだ元気に走ってくれてます。どっちもリッターバイクでエンジンの特徴の違いが面白いですね。ひとつはジェット機のエンジン、もうひとつはプロペラ機のエンジンっていう感じでしょうか。現在プロペラ機が故障しているので、もっぱらジェット機で通勤してます。4輪?ほとんど乗りません。冬は雨の中パンツまでずぶ濡れになって走ってます。会社に着いてから下着と靴下を履き替えて戦闘開始!いや、業務開始!

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    1. 世の中に「匿名さん」はたくさんいらっしゃいますからね。雨の中のジェット機通勤はすごいですね。お疲れさまです。

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