2014年7月30日水曜日

途切れ途切れの。。。二輪免許取得

昨日の続きである。

試験当日、雨である。ひどい雨という程ではないが、まあ、バイクに乗るのに嬉しい事ではないのは確かだ。真っ赤なThe North Faceのジャケットで視認性は抜群だろう。これだけでも点稼ぎになりそうだ。

以前に受けた車の実技のテストの時は町のお巡りさんが試験官だったが今回は専用の人がいた。こんな町でも時が経てばいくらか進化するものなのだな。おまわりさんが忙しくなったっていう事だとしたら、町にとってあまりいい事ではないが。

イヤホンの付いたトランシーバーを渡されて、「これで指示を出すので、私が言う通りに走ってください。私は車で後ろから付いて行くから。」と言われた。なるほど。車の実技テストの場合は横に乗るので、バイクの場合は後ろに乗って指示を出すのかなあと、まさかの線も考えていたのだが、さすがにそれはなかったようだ。

さて、テストが始まる。しかし、こちら側にはマイクがないので一方通行の指示である。ただでさえトランシーバーの音は聞こえにくくて、それで更に彼はちょっと癖のある英語であり、しかも雨が降っていてヘルメットに雨音が響き、というわけで、始まったばかりだが、不安が募った。

言っている事が分かったた時はちゃんと言う通りにできるのだが、向こうが何を言っているのかわからない時は、聞こえないという耳を叩く仕草のサインを出す。あまりにそのサインを出しているうちに、本当にトランシーバーからの音が雑音だけになり、聞こえなくなった。叩き過ぎたのだろうか。

町から出ている幹線道路を3kmほど出たところでそれが起こったので、バックミラーに映る彼の車を探すと、左にウインカーが出ている。慌てて私も左に止めた。(ちなみにこの国も左側通行です。)

そこで、彼は止めた車から出てきて、「もういい、Uターンして帰ろう。」と雨の中、目をパシャパシャさせながら私に告げ車に戻った。「ここは車を止めちゃいけないところだし。」とも付け加えた。

その頃に私が今現在Kuzzyさんと使っているちゃんとしたインターコムとかあったならコミュニケーションはすんなり行えたのだろうが、車を止めちゃいけないところで止まってしまった事が戻る道々、懸念された。幸い、交通量は少なかったので、止まれたのだが。

試験場の近くに試験官は車を停め開けた窓から指示を出す。私はその公道上でクルクルとか交差点を渡ったりして、テストは終わった。

そして結果報告は、「止めちゃいけないところで止まったけど、まあ、トランシーバーの故障があった事だし、車の免許は持っているし、うまく乗れているようだし、いいよ、Congratulations!」と。してくれた。

晴れて、その日、フルライセンスライダーとなった訳だった。
ガッツポーズを妻に写してもらう。そして、もちろんKuzzyさんにもご報告。


そして、後にまたここにやってきた時の写真を紹介する。まあ、近いのでしょっちゅう来るのだが。今度はもちろんハーレーでである。



夏の夕方、晴れているととてもきれいだ。「地球」というものを見た気になる。目一杯傾いた太陽が地上に影を作るとコントラストが美しい。真夏には芝がすっかり焼けてまっ茶色になってしまうが、この夕日時にはその方が合うと思う。


この山を下りて行くと更なるワインディングが続いている。
一つの夢が叶った。そしてこれからはもっと長い夢の続きを体感するのだ。



2014年7月29日火曜日

ところ変われば。。。二輪免許取得

もうちょっとで冬が終わる。もう数日で8月というのは驚きだ。
9月になって道路使用登録をすればもう走れる!

下の写真は2010年9月。
そう、バイクが道路上に戻ってしばらく経った時のちょい乗りの時だ。この時期まだまだ山には雪が残っている。この裏山もスキー場である。

しかし暦を無視して真夏に雪が降ったり、冬が近づいているというのに夏日のようになったりすることもある。昨今は世界のどこでも異常気象というのが通常なので、これからは異常気象という言葉も言わなくなってしまうのかもなんて思ったりする。


もちろん暦では真冬なのだが、今日は日中に散歩していてジャケットを脱ぐ程だった。
もしハーレーが走れる状態であったなら間違いなくちょい乗りしていたろう。
気温は13度まで上がったらしい。



そういえば先週末、Kuzzyさんと会食しながら話題に上ったのが、免許の事だった。私が日本で所有していたのは普通自動二輪免許だった。いわゆる中免だ。大型に乗るつもりは全くなかったし、当時のバイクライフには満足していた。

ずっとオフロード人生でヤマハのセロー225から始まり、DT200R、そしてホンダになりCRM250Rの赤と青を2台乗り継いだ。エンデューロとかに出場するのが大好きだった。



そんなオンロード知らずの自分がまさかのハーレーに心が向いたのはこちらの免許制度を知ってからだった。この国の道路事情も大いに関係している。

こちらの二輪免許の制度は3段階になっていて初心者、制限あり、限定解除、だ。大まかに言うと、乗っている(免許を取得している)年数でだんだん制限が無くなっていくシステムになっていた。これはつい最近にいろいろ条件が出てきて内容が変わってきているらしいが。


当時、私はこちらの車の免許を既に持っていて、(これにもまた話があるのだが)二輪は無かったのだが、日本の免許から移行ができると言う事をどこかから聞いて、調べてみると、日本の中免はこちらのフルライセンス(限定解除)に値すると言う。これは取るっきゃないと、いざ、免許センター(の役割をしているところ)に行った。

いざ行ってみると私は車の免許を持っている為、ペーパーテストはしなくていいが、実技試験を受けろと言われ、いつも通り話が違うなあと思いながらも承諾した。二十年以上も前の事を思い出しながらテストを受ける事になるなんて。

その場で数日後のテストを予約するとそれから準備が必要だった。なんせ、該当するバイクを用意しなくてはならない。そこでKuzzyさんに相談に行ってテストまでの一週間くらいということでヤマハのTT Raidを借りた。

これでテストを受けるのだ。そう、こちらの試験場には実技試験の為の車両などの用意は無いのである。テストを受ける人が自分で車両をどっかから用意して、免許も無いのにそれに乗って試験場まで行くのである。何ともこっちらしい。ひょっとしたら、都会の方は違うのかもしれないけども、この町ではきっと今でもそうである。


ヘルメットは事前にハーレー屋さんに行った時に仕入れてあった。もうハーレーに乗るのが前提になっていたので、ご丁寧にハーレーのロゴまで入っているものなのだ。しかもAraiとかShoeiとかより断然安い。聞くところによると韓国製だそうだ。ハーレーブランドなのに。モノホンか?




という訳で、特訓である。
ほんとに十数年ぶりにバイクを跨ぐと嬉しさで震えがした。私が歴代乗ったバイク達よりもずっとシート高が高く感じたのは不思議。歳食って足が短くなったのかもしれないと思った。

一通りあれこれ取り回ししてみて、機能を確認してからエンジンをスタートする。オフなのにセルが付いてる。びっくり。このTTだって決してそんなに新しい年式では無いはずだが。でも確か、その昔、TTが初めてセルを積んだオフ車で難易度の高いエンデューロでは有利だぞ、みたいな話題があった気がする。


しばらくあちこち走ってみて感覚を取り戻していく。楽しい。嬉しくてウキウキ、ついに山に向かって走り出した。絶対に山でテストはしないだろうが。


ここはCoronet Peak(コロネットピーク)という、冬はスキー場になり、にぎわうところの外れにある道だ。

湖の手前に見えるのがQueenstown(クイーンズタウン)だ。

しばらく景色を楽しみ、眼下にある道を望み、これから先の人生の楽しみを夢見たあの夏の日のことだった。



テストの日に続く。



2014年7月27日日曜日

夕暮れの崖

2010年3月のこと。


いつものちょい乗りは Glenorchy(グレノーキー) だ。お気に入りの片道50km 約1時間のコース。
その道はQueenstown(クイーンズタウン)の町外れから始まり、行き止まりの先にあるGlenorchyという村までの道だ。このグレノーキー村には多分100家族もいないのではないだろうか。

神秘なブナの森とゆるりと流れる川がクイーンズタウンの象徴であるLake Wakatipu(レイク・ワカティプ)に流れ込み、厳しく雄大な自然に囲まれていて、名前もParadise(パラダイス)なんていう場所もある。

何がパラダイスなのかわからないが、マス釣り人やシカ・カモ撃ちにとっては獲物が豊富なのでまさに天国である。果たして獲られる側にとってもパラダイスと言ってもいいのだろうか。とにかく、ワイルドである。

Lord of the Ringsを始め、それはもう様々な映画やCMが撮影されている。全く似合わない爆破シーンもX menで撮影されたことがあるが、放牧されている馬も羊同様のんびりしている。


こんな村まで行く道は絶景である。景色と道路のバランスで言うと国内にある道No1ではないだろうか。距離といい、適度なアップダウンと言い、コーナーの感じといい、ストレートといい、道フェチなちょい乗りライダーにとっては嬉しい限りだ。

この国に移り住んだ十数年前にはまだ舗装されていなかったが、今では舗装路がずっと続いている。時折、工事でボコボコであるのだが。

この国のアスファルト道路の出来は残念ながらお世辞にも良いとは言えない。日本の約2/3の大きさの全土をたったの4百万人の国民で支えているのだからしょうがないと言えばしょうがない。壊れたらそこを直す、というのがしょっちゅうで、つぎはぎだらけな道もある。長いめで見てもランクが上の製造過程にするにはコスト的に見合わないらしい。

という訳で、しょっちゅうぼこっと開いている穴には気をつけて走らねばならない。



この写真のBennets Bluff(ベネッツ・ブラフ)という所は見晴らしがきく所で、ほぼ殆んどのハイカーや営業車はここで止まり、写真を撮っている。かくいう私もおそらくここが一番多くシャッターを押す機会があった所ではないかと思う。

ここまで来るとこれから行く先の天気が見える。天気が悪い時などはここまで来て引き返す事があるが、今日は全く問題ない。湖は静かに波打ちきらきらと傾きかけの太陽を反射させている。


この見晴し台から先はまるでジェットコースターに乗っているような感覚になる道がしばらく続く。一番おいしい所だ。ギューンと下り、右左に曲がったかと思うとグイーンと上がり、またすぐにコーナーに入っていく。上下運動のGを楽しめる。

ハーレーが尻尾を振りながら吠えている感じを楽しむ。
一人で走る時は尚更それを強く感じる。


村に着いたらカフェで一息入れて帰路につく。同じ道でも退屈しない。

バックミラーに写る景色を見るのが好きだ。特に見るのは帰り道。
なぜかリアルな景色と違って見える気がするのはなぜだろうか。









2014年7月24日木曜日

温泉へ行こう。完結

昨日からのつづき。

二人は起きると朝一に黙って岩風呂へ。これぞ温泉宿。

思う存分に湯を楽しんだ後、ゆっくりと朝食。普通の日本食を頼んだが、さすがにアジのひらきとかは出てこない。庶民の味を口にするのがここの国では一番難しい。逆にそこそこ高級なものは口に入る。それなりに価値のあるものしか輸入がされないという事だ。ああいうものを求めてしまうのが贅沢という事になるのか。

夜の間一降りしたのだろう。バイク達も路面も濡れている。チェックアウトをした10時、我らは来た道を戻り始める。まだ朝っぽい光の中の森は艶がある。このしっとり感をα波とでもいうのだろうか。バイクを乗りながらの森林浴を楽しめる。


小気味良くワインディングを走って来ると奇怪な岩がやたらとある場所がある。Frog Hillと呼ばれているところだ。なぜか緩めの丘の上には所々に変な形の岩がある。NZには似たようなところが他にもいくつかあるが Lord of the Rings を始め、実にたくさんの映画やCMが撮られている。

そういえば、特にこの辺りの夏はほとんどの芝がこのように日に焼けてしまっていて薄茶色になってしまう。またそれもなかなかコントラストが付いて悪くもないのだが。緑の場所は放牧されているところでちゃんと水まきがされているところだけだ。この地域では緑の美しい丘は初夏にしか見られない。

クライストチャーチに戻って来た。まだ時間が早い。2時間で着いてしまうのでしょうがない。これまた嬉しいおいしくてボリュームのある日本食屋でランチを取り、たらたらと歩いて町見学などしてしまった。

その前の年の2010年9月にもあった地震の跡が残っていて、古いビルなどは梁を作って修理中だった所も少なくなかったのだが、、、この楽しかった3週間後に更にでかいのが来て壊滅状態になった。何とも悲しい出来事だ。

ちなみに3年経った今、完全復興まではまだまだ当分先の事であるように誰もが感じるくらい、見た目では進んでいない。ほんのごく一部だけが違う形で出来上がりつつあり、住民は一生懸命に明るく働いていて、そんなに支障もなく過ごしているように見えるが、きっとあれ以来、何かが大きく変わっているはずだ。



さて、3泊かな?と出てきたこの旅だったが、天気予報を見ると次の日がヤバそうだ。あと500kmなので帰ってしまおうという事になった。大丈夫、日はまだまだ高い夏の日。

クライストチャーチを南に下り始めAshburton(アッシュバートン)に向かう。だいたい1時間で着くその距離100キロ。SH1号線。これが退屈なくらい長いストレート。とは言え複線で交通量はあるし、うかうかしていられない。なんせ、ここは全行程中、一番スピードが出る所なのだ。そう、不思議な事に交通量が増えると速度を周りと合わせる為なのか、競争心をくすぐる為なのか、孤立して走っているときよりも平均速度が速くなるのだ。全く変な話である。

ここの木陰で一休み。満腹で眠たくなったとKuzzyさん。ずっといつかの為にと取っておいたRED BULLの濃縮タンクを差し上げる。ググッと飲み干したあと、水を追っかけで薄めて飲んでいる。

そこからはSH8に右に折れ内陸を走り始める。ここからは太陽の傾きもだんだんとドラマチックな影を作り始める時間になる。



Fairlie(フェアリー)の辺りはとても嬉しいワインディングだ。カーブがひとつひとつ美しい。楽しくなる道なのだ。牧歌的な景色が心を癒してくれる。



それが終わると今度は両脇が無くなる感覚なくらい広い所に道が一本走ってる。自由になって走れる感じだ。夕焼けまでにはまだまだ時間もある。Tekapo(テカポ)という、小さな町でまた日本食で夕飯とする。





Kuzzyさんの行きつけの店で、顔が利く。さすが、メニューに無いもの注文してるし。それに私も乗っかった。ちなみにこの近くを流れる淡水の水路でサーモンを養殖していて、それが名産である、が、今回はカツ丼。

またまた食に満足した二人は夕焼けになりつつあるその風景の中、ひたすら西に走り続けた。

サーモンの養殖場がある水路脇は不思議な絵になる。

 遥か向こうに国内最高峰のMt Cook(マウント・クック)が見える。

こんな時間にこんな所にいて、まだまだこの先3時間ほどあるのだが。しかし、この感覚、たまらない。何とも言えぬ、いーい時間帯である。


そして、いくら日が長いと言っても、Queenstownまでの家路の最後の1時間は川沿いのワインディングを含む、まっ暗闇の中を走る事になった。か細い私のバイクのヘッドライトではスモークのかかっているバイザーとではいかにも効率が悪く、Kuzzyさんに先導してもらう。新しいバイクのヘッドライトは明るくていいな。

しかし、そんなヘッドライトに吸い寄せられる蛾がたちまちバイザーに次々と打ち当たる。スモークだからとちょっと開けて視界を確保しようか、なんて思うが、それじゃ目に蛾が入ってしまい、危険度が増すかもしれない。第一気持ちがよくない。

そんな事を考えてると、ちょうど視界のど真ん中に大きめの蛾が当たり、視界の殆どを塞いでしまった。それに対して「うぉーッ」と口を大きく開けて叫んだらヘルメットのあごひもがあごによって下に引っぱられ、ヘルメットがちょっとだけ下にずれて視界を得る事ができた。思いがけない発見をした。

それからはずっと口を大きく開けて走る事になった。とても口の中が渇いた夜になった。この頃はまだインターコムを使っておらず、この珍事の実況中継をKuzzyさんにできなかったことが悔やまれる。


教訓:夏の夜は喉が渇く。

おしまい。

2014年7月22日火曜日

温泉へ行こう。その2

先日の続きである。 その晩、我々はそれぞれの知り合いの家にお世話になり、長らく会っていないそれぞれの友達と親交を深めたのだった。 KuzzyさんはXL883Lを朝一にバイク屋へあずけて、初回点検と一緒にピリオン車に改造を施す事に。

私は泊めてもらった友人のなつかしいインテグラで5分で着くカフェに連れて行ってもらった。海の見えるすてきな建物は実は市民図書館だ。その下にあるガラス張りのカフェで、ここで休日の朝にコーヒーとパンケーキを海を眺めながら食べるのが彼のお気に入りだそうだ。私もこれには賛成した。

 この橋があるところだ。New Brighton(ニュー・ブライトン)という。

泊めてもらった彼のピカピカだったほぼ新築の家はおしゃれな新興住宅地にあって、電線などは地下に埋められていた為、電柱は無く、家と家の間も割と広めな感じで、ゆったりとしたいいところであったが、残念ながら、この3週間後にクライストチャーチ大地震で敢えなく強制退去させられる羽目になってしまった。

今もこの近辺の地域で住んでいる人達はたびたび水害やらなにやら大変な目に遭わされている事を考えると、彼の家・土地を国に買い上げてもらえた事は不幸中の幸いと言えるだろう。

地震は人々の人生を変えるとつくづく思わされた。

Kuzzyさんがそのカフェに面白いものでやってきた。883L改造中に足が無いと店に言うと、代替えを差し出してくれたという。これ、かっこいい。FortyEightだ。思わず、改造なんかやめて、こっちに買い替えちゃいなよと、Kuzzyさんに薦めた。 

それから気になっていろいろと見てみると、当時は日本のハーレーの価格とこちらでの価格と比較してみると断然こっちの方が安いのが面白かった。この国では滅多に無い現象なのだ。物価はコンピューターにしろ、車にしろ、殆んどの場合10-20%くらいは高いのが常だった。

でも、今は$NZが上がってきてしまったし、ハーレー自体の価格改訂も入ってしまったようでこちらの方が高い。また為替のいたずらを待つといい事があるかもしれない。

とにかく、記念撮影をしたり、2杯目のコーヒーをすすったりして時間を過ごした。昼前に店で待ち合わせをして行ってみるとまだ出来上がっていなくて、Kuzzyさんは買い物中。バックレストに付けられるバッグを買った。これからこれに自分のグッズを入れて旅ができる訳だ。私のサドルバックの片方を貸していたので、私のはいくらか軽くなった。
我らは結構仲良しである。

その後も仲良く町外れの中華料理屋でたらふく安い飲茶を食らい、超満足してからやっと出発だ。そういえば、地震の後、この中華屋も無くなってしまったようだ。残念だ。 

これから約200kmの道程は、まず北に向かう。そういえば、町の中にあった信号もすぐに無くなる。一般国道も制限速度は100km/hだけど、ちゃんとしたコンクリートのフェンスに囲まれる複車線のハイウェイもあるようなところもあり、たしかに交通量が多い。しかしそこも100km/hだ。
その後、牧羊地帯が両脇に開き始め、緩やかなワインディングを行く。周りが開けていて空が広い。上を向いて走れそうだ。

Culverden(カルヴァーデン)という町を通る、国内最長直線道路(13.7km)がある。この直線は確かにまっすぐだが、時折上下に大きく動く。平坦であるというのは勝手な想像である。いかにもNZらしく笑わせる。 

交差点を過ぎるとやや西向きに走り、ゆったり流れる雄大な川を右手眼下に望みながら走る。広いフラットな地形を過ぎると急に森の中を行く。ずっとずっと奥に入っていく感じは秘境っぽくって良い。いよいよ近いぞと感情が高まって来る。


目的地のMaruia Springs(マルイア・スプリングス)に着くなりすぐに、湯にどっぷりと浸かり、温泉独特の匂いに日本の懐かしさを感じ、夢見る程に気持ち良いマッサージをたっぷりと受け、ビールで乾杯、日本の鍋料理を二人でつついた夜は、我ら二人に「また来ようね」と強く決心させるのであった。

つづく。

*本日のルートはこちら


2014年7月20日日曜日

温泉に行こう。その1

2011年2月のこと。
あの恐ろしい地震が来る前の平和だったときの話である。

Kuzzyさんと温泉に行こうと。やっぱりバイク旅には温泉が合う。クライストチャーチから北上したところにHanmer Springs(ハンマー・スプリングス)と言う温泉が出る町があり、国内でも保養地として家族連れ、会社の旅行会とかに喜ばれて訪れられているところだ。殆んどの国民はこちらに行くが、更に奥にはMaruia Springs(マルイア・スプリングス)という日本人経営の温泉宿がある。今回はそこが目当てだ。過去に何度か足を運んだ事があるところだ。 

ついでにKuzzyさんのXL883Lは初回点検という事もあって、買ったChristchurch(クライストチャーチ)の店まで持っていくのが目的の一つである。ついでにピリオンステップとバックレストを追加してしまおうという魂胆だ。3泊くらいの予定で出た二人だった。

まずはLindis Pass(リンディス・パス)という峠だ。Queenstownを出てから東に1時間半の道のりだ。主要な国道であり、我らの町に毎日生活物資が運ばれてるのはこの道があるからだ。だから割と交通量も少なくなく感じる。しかし、この道、冬の期間は大雪の為に閉鎖になってしまう事があり、そのせいで数日間物資が不足する事もある。

しかし、夏は関係ない。存分に気持ち良く走れるところだ。殆どのコーナーは高速コーナーであるし、高低差もぐーっと登って、ガーッと下がる感じだ。初夏には峠の始まる前後の道端はルーピンズ(ルピナス)というパープルやピンクやら鮮やかな花が咲き乱れ、まるで花でできたガードレールの道のようである。いずれにしても我らおじさん達に似合う花ではないが。

そんな峠を過ぎると今度はずーーーーっと続くほぼ直線だ。微妙に曲がるところがいくつかあるのだが、感覚的にはまっすぐだ。しかも両側には荒野だ。ずっとずっと何も無いように感じるのはその荒野がもたらす虚無感のせいだろう。バイクを停めようと場所を選ぶがどこがいいのかわからない。




ストレートを意味も無く何度か往復してみたりする。うん、気持ちがいい。

このストレートが終わるとOmarama(オマラマ)という町に着く。Queenstownからはちょうど200km 2時間の距離だ。お茶タイムとする。ここはお気に入りのカフェレストランで、味もいいし店員の感じもいい。緑の芝生がいつも眩しくて木で作られた内装はとても落ち着く。2時間という距離感もいいので、つい休んでしまう。


また走り出すと今度はMt Cookが目の前に見えて来る。あまりにもよく見えているので折角だからとKuzzyさんにUターンしてもらって撮ってさし上げた。

Mt Cookが湖の向こうにそびえる様子が見られる見晴らしがある。Lake Pukaki(レイク・プカキ)というのだが、実はダムでせき止められた人工湖である。この水の色は何とも言えなく美しい。日によって違うのだが、ミルキーな青だったりグリーンだったり、グレーだったり。氷河が削った山の鉱物が流れ込み、それがその水の色の原因になっているらしい。


珍しく、そのダムが放流をしていた。初めて見た。

その後、Fairlie(フェアリー)という小さな町にあるHarley屋さんに寄ってみた。なんでこんな僻地なところなのかわからないが、すごい数のピカピカのバイクがところ狭しと並んでいた。変わり者風のアメリカ人のおじさんメカニックが経営をしていた。顧客もたくさんいて、遥かあちこちの町から来てくれると言っていた。すごい。さすが本場仕込みというところの強さだろうか。アメリカンをしゃべる感じはすごく納得がいく。 

その後ちゃらっと走った我らはクライストチャーチに無事に着き、大好きな人気韓国焼肉店に直行して膝を突き合わせ一日の疲れをねぎらい合った。残念、ここには温泉は無いのである。

つづく。

*本日のルートはこちら。