2014年7月15日火曜日

なれの果てには高級食材。

2011年5月のこと。
5月ともなれば走り締めの月。6月から8月一杯までは公道を走らない様にしている。この辺では走っても凍ってしまうくらいに寒いだけだし、第一に道路が凍ってる所が多いので命がけになってしまう。ブラックアイスと言って、ほんとに凍ってるのが見えないところが多いこと。もお、いい歳のおじさんなので、そんなに辛いことはしないようにしている。 

その間、走らない事でガソリン代も節約になるし、いわゆる自動車税もその走らない月の分は払わないでいいのだ。盗難とかあるので保険は払い続けるけども。北島のオークランドなど、あったかいところにいれば年間を通して乗るのだろうけど、このクイーンズタウンではそうする人は少ないだろう。


さて、今日はカップルライダーからのお誘いでウェストコーストの海まで行かないかということで。あっちはカップルなので、私はKuzzyさんを同行で。なにか? でっかいくまのプーさんみたいな容姿のミスターS氏はHonda CBR1000で、いつも元気に満ちたミセスK日本女子はYamaha Virago400だ。この二人は夏はオンロードを主に、そして冬はオフロードやら海外ツーリングに出かけるやら、忙しく年中バイクに仲良く乗っているうらやましいお二人である。

まずはいつもの峠、Crown Rangeをゆらゆらと30分程で登り、頂上のパーキングでみんなの調子を確かめる。この4人で走るのはこれが初めてだった。さすがに5月の気温であり、1000m程の標高である国内国道最高地点は太陽が当たっていても走れば寒い。持っているもの全部着てきた感じだ。もちろんグリップヒーターはオンだが、分厚い冬用グローブもしているので効き目が半減。 

Lake Hawea(レイク・ハウェア)の横をすり抜け、Lake Wanakaの最北端を過ぎるとMakaroraという町だ。ここからしばらくは清流を右手に見ながら上流へ向かって走っていく。Fantail Waterfallとか、Thunder Creek Fallsとか見応えのある滝があるが、今回はパス。それを過ぎると本格的な森に入る。

いくつかある一車線分しかない橋には気をつけないといけないところだ。対向車優先看板を見過ごしたハイカーやキャンピングカーがそんなところで目の前に迫ってきたりしたら最悪である。 まあ、そのように注意しながらいく訳だが、このK女は走りっぷりがすごいのだ。

私が先頭、Kuzzyさんが2番目、K女が3番目で、みんなを見守るようにプーさんが最後の順でしばらく走ってたのだが、気持ちのいいワインディングを走ってエキサイトしてきたのか、K女はコーナーをアウトからかぶせてKuzzyさんをガガッと抜いたかと思うとすぐ私の後ろに迫ってきた。バックミラーに映った気迫のある彼女を見て私も手の合図で先をゆずるとドパーって全開で走り抜けた。 

Viragoの後ろをくっついていくと後輪はぐらぐらと左右に大きくぶれていた。中古で買ったらしいがすごい年季が入ってるもので、マフラーなんて直管みたいな音がしてて私のよりうるさい。元気に音を出してブオーッと去っていくそれはとても彼女らしさが出ているバイクだなあと思った。はい、K女はとても魅力的な女性ですが、決して静かな女性ではありません。

さて、一行はHaast(ハースト)という、なれの果てに着いてしまった。ここで道は海に当たるのだ。一応、飲食店は2軒程あって泊まるところもいくつかある町だが、手付かずの海や川や森に用事がある人以外にとってはただただ過酷なほど退屈な条件の村だろう。携帯も使えないし。尤も携帯はここに来る随分前から使えないが。ガソリンスタンドはあるので、この町から出る事はできる。 

ところでHaastに着く直前に進行方向である海の方から吹いてくる風が妙に暖かいと感じた。決して前を走っているK女の吐いている排気ではない事は確かだった。町に着くと温度計が20度を指していたのは信じられなかったが、ほんとにあったかかったのは気持ち悪いほどだった。なんせ、持ってるもん全部着ている訳ですから。 中に着ていたシャツを一枚脱いで、給油をしてからちょっと北上する。


いいものがあるとプーさんが言うのだ。蜂蜜だろうか。ちなみにNZは蜂蜜がおみやげとしてとても有名である。蜂関係健康商品はきっとご存知な方々も多いであろう。川を渡る橋の近く、海側に入っていく砂利道をちょっと行くと、そこにはwhitebait(ホワイトベイト)と言う、シラスみたいなちっちゃな高級魚を料理して売っているのだ。

この国の人々は基本、魚をあまり食べないのだが、なぜかこれだけは全国的に人気みたいで、めちゃくちゃ高い。しかも、なぜかこの種だけ特別なルールにより、漁業権が無い人でも獲って売って儲けてもいい、らしい。だから、季節になると一攫千金を目指して週末ごとにやって来るお父さんとかがたくさんいるらしい。

そしてこれがそれ。代表的な料理方法としてはパンケーキ?みたいに卵とじ。 正直、私はそれほどでもないと思うが、Kuzzyさんは絶賛して2つ目をオーダーしていた。もちろんここへ導いたプーさんももう一つ。そういえばK女も。私は結構ケチである。でも実はおいしいものを落ち着いて食べられないせいもあって2つ目をオーダーしなかったのもある。

このパンケーキのお店にどうやら住んでいそうなおじさんの息子(推定10歳)は珍しい客に目線を注ぎ込んでいたようだが、それは私とて同然、彼を不思議に見るしか無かった。だって、このサンドフライを除けようと苦労しながら食べている私たちにも拘らず、半袖短パンでいるなんて。きっと刺される事など、それこそ屁でもないのだろう。 生まれ育った環境で人は違うという事を思い知らされた。

南下編につづく

*今回のルートマップを作りました。お好きな方はこちらからどうぞ。

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