2015年2月28日土曜日

縦断開始。来て良かった場所。

2015年2月。

ツーリング2日目。今日も快晴だ。素晴らしい。蜂に刺された右腕はまだ痒い。

今日は今回の目的のArthur's Pass (アーサーズ・パス)峠を越える。
と言っても宿泊したメスベンからはそんなに遠いわけではないので余裕たっぷりでお出かけする。朝からまた豪勢な食卓を飾ってくれたRの奥さんとRにお礼を言って家の前で手を振られる。Rは仕事があるとかで(週末でもないので普通はある、か。)残念ながら一緒には来れなかった。

ところでこのR、ハーレーを買うのに相当苦労して奥さんを説得したらしいのだが、自分だけのものでなければなんとか納得させられるかもしれないという奇策を練り、奥さんと子供用のヘルメットを一つづつ買ってしまった。しかもSHOEIのかっこいいやつ。

それで自分は20年前の高校生時代に使っていたというAraiのヘルメットをかぶっている。これで、ハーレーは自分だけのものではないという主張をしているおかげでキープできるということにしているらしい。それぞれの家庭の事情というものだ。

今までに一、二度それぞれ乗っけたことがあると言っていた。ある日、奥さん乗っけて行ったカフェが良かったらしく、いい体験ができたと奥さんが喜んでいた。このまま上手くハーレーライフを楽しんで欲しいものだ。

さて、ここは真っ平ら。カンタベリー平野と呼ばれている地方で本当に平野なのだ。道もまっすぐが多い。昨日のテカポからの道の後半、メスベンに近づくにつれ最後に曲がったのはいつだったろうかと思うほど、まっすぐな道が多いのだ。しかも目標物の山も似たような感じで全部同じに見えて方向感覚がなくなるのだ。

メスベンから出るときもやっぱりそうだった。

幸い、迷うことなくSH73に乗る。ウキウキの始まりだ。
最後のガソリンスタンドはSpringfield (スプリングフィールド)という村。アメリカの人気アニメSimpsonsの住む町と同じ名前だが、原発はないし、多分ホーマー・シンプソンという人も住んでいない。いたらいいのに。

ガソリンスタンドにはここから先83キロだったかな?はスタンドがありませんという看板が出ていた。ちょうど出ようとしていたHonda Shadowのおじさんがいて「天気がいいね!」と話しかけた。彼も同様にArthur's Passを抜け、北上してもう一本平行して走るLewis Passを通りぐるっと回って帰るという。一日の距離にすると約600kmと結構な道程だ。Take care!と、別れた。

平野部が終わるとさすがに道は曲がり始める。ここが最後のストレートだ。


この道は東側からアクセスすると峠の山頂までは比較的ゆったりとしたカーブが特徴で、ハーレーには具合がいい。勾配もそれほどきつい所もなくとても気持ち良い。


天気も最高だし、こんな道だからツーリングするには最適だろう。何人ものライダーとすれ違った。(ということは何人も平日に仕事をしていない人がいるということだ!というかその殆どは旅行者なんだろうなあ。)
7, 8台のハーレーツアーの人々ともすれ違った。みんなデカイのに乗ってたなあ。

こんな3輪車も。


しかもこんなところが途中にある。Castle Hill (キャッスル・ヒル)だ。


ご存知、映画 Lord of the Ringsでも使われたロケ場所の一つで、他の映画でも使われている。ホリデーで満車近い大きくない駐車場に止めてちょっと見学。さすがに暑く革ジャンは脱いだけども、革パンツ+ブーツで歩く。これだけでも冗談もの。岩の付近までで十分だった。他の人は岩に登ったりしていたのだが、岩の近くまで行ったらあの変な形が見えないではないかと思い岩も触らずくらいの距離で引き返した。めちゃ暑かった。

ところで、バイクに革ジャン引っ掛けてそのままに歩いてきたけども、イタズラ好きがいなくて良かった。と言うかほとんどいない。もちろんどこでもヘルメットにもチェーンも鍵もかけない。のどかで平和ないい国なんだ。でも、これが北島ならきっと話しが違うだろうな。


道は続く。

真正面に突然現れた湖がとても眩しかった。なんとも言えないこのカーブのRがたまらなく良い。Lake Pearson (レイク・ピアソン) だ。

そのあとに現れたのがこの大ストレート。多分 3キロくらいはあると思う。その右横には湖。うーん、たまらない。





嬉しくて直線部を往復してしまった。ソロツーリングだとこういうアホ自由があるのがいい。


一度、川のレベルまで道は降りる。この橋を渡った直後に緩いカーブでバスとすれ違ったのだが、その時、右膝に未だかつてないくらいの痛みが走った。おそらく、石でもはねられたのだろう。ぎやぁーと叫んでしまってから必死に右膝をさすって「痛いの飛んでけ」をやった。1分くらいやってたと思う。走りながらだけど。

よく対向車の跳ねた石で車のフロントシールドが割れるのだけど、ひょっとしてそれと該当するほどの石が当たったんだろうか。だとしたら頑丈な膝なのか、でも、膝でよかった、バイクじゃなくて、とか思ったりすると、ちょっと慰めになった。

道も狭くなり、森の中を抜けていくような道に変わり登りつめるとそこには村があった。

数件の宿とカフェがあったが、麻痺しているくらい忙しそうに見えたので何処へも入らずに通り過ぎた。村から出ようとするといきなり道路工事で止められた。

夏の期間はやはり工事も多い。特にこんな山奥じゃ陽の長い夏にしかやりたくないだろうし。ここの天候は非常に厳しいらしいし。

現に、19年前、初めてこの道を通った時はminiだったが大雨で、左カーブを曲がった時に左側から結構な大きさの木が目の前に倒れてきたのを思い出した。

それが今は、こうして建てられた立派な架け橋もある。ものすごい労力なんだろうな。そしてここから先は途端にえらく道が悪くなる。これからいつかこの辺も綺麗にやり直すのだろう。

写真が撮れなかったのが残念だが、頭上を流れる雨樋があって、水が空中に放り出されて綺麗だった。


さあ、ここからウェストコーストになるのだ。

続く。

2015年2月27日金曜日

晴れ三昧の幸福日和? ツーリング初日。

2015年2月。
いざ出発である。

この夏、この時期にしてようやくロングツーリングができそうな時間ができた。天気予報を見ると今日明日は晴れで、うまいこと2日目の夜に雨が通り、3日目の走りには影響がなさそうだ。

Arthur's Pass(アーサーズ・パス) という峠が南島のほぼ真ん中を北西から南東にかけて貫通しているのだが、この道だけハーレーで抜けたことがなく、今回はここを通ることを目的とした。

出発前日に打電して新たなハーレー乗りになったMethven (メスベン)に住む友人RとTekapo (テカポ)でランチの為に1時頃に現地集合することにした。クイーンズタウンからは大体3時間、メスベンからは大体2時間弱の 距離。ちなみにRはまだ航続で100kmも走ったことがないという。彼にとっては初ツーリングみたいなものだ。これは楽しいイベントになりそうだ。


この時期、ホリデーなので、交通量が非常に多い。しかも海外旅行客のレンタカーが半分を占めているんじゃないかと気がするほど多い。ホリデー時の事故が多いのも当たり前である。特に中国、インドからやってくる人々の運転は非常に迷惑で恐怖であるので、本当に気をつけなくてはならない。モラルや交通ルールを守れないという問題だけではなく、人によっては車の動かし方自体が怪しく、左車線に留まれなかったり、ハイスピードに慣れていなかったりと、そもそもの問題であるから怖い。

何台もそんな車を前に後ろに対向車に見ながらクイーンズタウン近郊を抜ける。珍しくワイン畑で一枚。まだぶどうの身は小さいようだ。


しばらく行くと10台くらいの車の一団がいた。先頭車両が遅いのだがその後に付いている2台目、3台目も技量がないのか、抜けないでいるのだが車間が詰まっていて、抜く気満々のその後ろの車達が抜けないでいる。そうなると全体のスピードは先頭車両の速さで決まってしまう。法定速度では100km/hなのだが、大抵そういう車は80km/hそこそこで走っている。このまま1時間も走り続けられたら20kmも距離が違うのだ。本日400km走る予定の私は付き合いきれない。第一、ランチタイムが終わってしまうかもしれないではないか。

広い所で一挙にごぼう抜きしていくことができるのはバイクならでは。車の長さと幅ではこうは出来ない。やっと普通の巡行に移ることができてしばらくすると写真タイムだ。Lindis Pass (リンディス・パス)という峠だ。観光スポットになっていて、近年できた見晴台まであるが、そこを通り越して下から眺めることにした。でも写真は下向きに撮ってみた。

そして撮ってる間にさっき抜いた一行に抜かれてしまった。


ここを抜けると今度は真っ平らまっすぐな道がグーンとOmarama (オマラマ)
まで続くのである。車の一行の車間も順序もまちまちになってくることだろう。

私は見晴らしのいいストレートを走るとき、時々周りの景色に圧倒されてスロットルを緩めて進むことがある。80km/hくらいで流すとエンジンの鼓動がゆったりとなり、とても心地よいのだ。いわゆる昇天している感じと言えばいいのだろうか。

先ほどまでブチ抜いてきた車たちが不思議な顔して私の横を追い越していく。

ということで、また一枚。大乾燥地帯がやっぱり乾燥していた。
実はシーズン初めはなんとこの土地が芝生で真緑だったのだ。目を疑ったくらい信じられなかった。こんなところでそんなことは可能なのだろうかと思ったものだ。が、やっぱり元の茶色に戻っていた。緑は美しいが、この茶色の風景に見慣れてしまっていて、緑だと違和感がある。





大快晴に恵まれて最高峰のMt Cook (マウント・クック)も絶好調に光ってた。手前のブルーグリーンのLake Pukaki (レイク・プカキ)もすごい色を放ってた。





テカポのほんの一息手前の荒涼としたところもなぜか好きだ。なんもない大地に道路と平行に点々と電信柱が立っている。あの電信柱の切なさが好きなのかもしれない。悪天候にもめげずに立っているのだ、何も言わずに。昔見た日本のCMであった三丁目の電柱の歌を思い出した。





やっぱりハーレーはマフラーが見えるのでこちら側のアングルが好きだ。


予定より25分くらい遅れて(勝手に私はもともと遅れる予定にしていた)テカポに到着、友人Rもちょうど着いたばかりだと言ってくれた。10分くらいの差だったと思う。

久々の再会でテカポ名物サーモン丼を頬張りながらお互いの近況報告をする。ネットの力で離れていても結構お互いの近況を知っているものである。実際に会ったときはその詳細について聞くという会話の方向に時代は変わりつつあると感じる。

天気も最高だし、折角なので、近くの天文台があるMt John (マウント・ジョン) に登ることにする。もちろんバイクで。舗装路だけど、道が狭く急な坂でヘアピンも多いので、Rは躊躇したけども、もし一人だったら行かないだろうということもあり、行くことにした。

Rはそこそこ苦労しながらもちゃんと登ってきた。その見返りは素晴らしい景色だった。





初ツーリング記念にRの勇姿も撮って土産とした。
撮影のためにRはこの狭い道でUターンをしてきたのだが、おぼつかないその姿を遠く離れて見ていてもひどく滑稽だった。シート幅が私のと比べて広く、跨ると彼の背では両つま先ツンツン立ちなので、まだしょうがない。そのうち慣れてくるでしょう。





超ゆっくり下山してくるRをしばらく待ってから一緒に走り出すことすぐ、私の右腕に激痛が走った。前に覚えのある痛さだ。また蜂に刺された。この時期、蜂は活発に動き、しかも量が半端じゃない。確かに私の上下の革にはたくさんの蜂が当たった跡がある。袖口から入る確率を考えれば低いはずなのだが、ハンドル位置と角度でちょうど袖が正面を向いているとは言え、全く良く入るものだ。宝くじもこのくらい当たると良いのだが。

みるみる腫れてきたので、Rを置きざりにして、痛い右手でスロットルとブレーキをコントロールしながらテカポの町まですっ飛んで戻り、お土産屋に飛び込んだ。薬局などないのだ、この小さな町は。そこで手に入れたのが、プロポリスの原液。
これをたらっと一滴すると治りが早いと言われている。元々蜂が集めたものなので、毒を以て毒を制するというアイディアからきているのかもしれない。


その後、痛さは治まり痒さに変わって熱をずっと持ち続けた。その晩は腕をかきかきしながらRのシェフである奥さんの作ってくれた美味しいご飯をいただいた。

全体的に観れば幸せな日であったがその幸せぶりに”バチが当たった”のだろうか。

つづく。



2015年2月2日月曜日

夏のツーリング

2015年1月。
地元のクラブメンバーと一緒に走ってきた。今年になって初めて300km越えのツーリングになった。

朝10時、集合場所のいつものバーに行くと初お目見えのDynaがいた。総勢7人で、最近にしたら少なめかなと思った。前回はただのBBQだったから多かったとか?と思ったりしたが、まあそんなことではないだろう。多すぎないのも走りやすいし丁度いいかもな感じだ。

空を見あげると雲行きはなんとなく怪しく、天気図も、んー、ギリギリかな、みたいな感じであったが蒸し暑い。一応カッパはサドルバッグに入っている。

ワイン畑、渓谷を抜け、湖の脇を走り隣町Alexandra(アレキサンドラ)の端をかすめると見渡す限り平たい茶色の平野に出た。所々十分な水分を与えられている緑の放牧地がある以外はずっと茶色だ。

道路も広く、日曜日とあってか、いつものことなのか、交通量がめちゃくちゃ少ない。7台は点々とまっすぐの列になり、緩やかに曲がったり登ったり降りたりの道を突っ走る。私が最後尾だったので、その景観はとても気持ちのいいものだった。



以前にも書いたが Lauder (ラウダー)という集落に着くとカフェがある。昔汽車が使ってた線路跡を近年、自転車道に整備し直して、数泊しながら旅をするのが流行ってる道があって、そのおかげで所々にこうしたカフェや宿が次々とオープンした。


そこで一服。いつもはロングブラックのコーヒーなのだが、気温が暑すぎるので、ジンジャービアーにした。ちなみにビールと言ってもアルコールは入っていない。最近あちこちのメーカーはボトルのラベルの絵が凝っている。いわゆるジャケ買いをしてしまう。



みんなで年末年始をどう過ごしたかなどありきたりな会話をした後、再び跨りさらに奥へ走る。Dynaのおじさんはここで引き返すと帰ってしまったが、我々の行き先はもっと僻地だ。しかもそこは行き止まりになっているところだ。まさに陸の孤島。Neasby (ネズビー)と言う所で知る人ぞ知るところである。

実は世界的にもある分野で有名であるのだ。ここにあるのはアイスリンク。そして繰り広げられるのは手に汗握る「カーリング」である。なぜだ。

もともと、この地はものすごく冷えるところで、池が凍り、その氷上でカーリング、もしくはスケートができたらしいが、ただそれだけのことで、アイスリンクを作るのならば本来ならそういう人が集まるところに作ればいいものを、なぜかこんな僻地に。

もっとも、聞いた話によれば、選手たちは他に何もないこの村なのでゲームに集中できていいとか。Kuzzyさんは実は熱狂的なファンで、日本のチームが来ると応援に行くのである。リンクはガッラガラで報道陣以外の日本人など皆無なそうだ。もちろん観客の数もない。人がいない村なので当たり前と言えば当たり前である。なぜだ。

そういえば、あまりに人がいないので、アリーナよろしく、相撲で言えば砂被り場、選手がブラシではく氷粒が飛んでくるようなところでゲームを見たと言っていた。



ランチはそのカーリングで有名な地元の人がやっているカフェらしく、店の中にはたくさんのトロフィーやら写真が額に飾ってあった。場所も一等地だ。この村に入ったら通らなければいけないようなところにある。

夏休み中だからか、小さな女の子がキャッシャーを手伝っていた。どう見ても12歳くらいだ。まさか君が作ってないよね、と思いながらオーダー。

B.L.A.T. すなわちベーコン、レタス、アボカド、トマトが挟んである薄めのサンドイッチトーストはまずまずで、今度はロングブラックコーヒーにした訳だが、こちらはとても美味しいと言えるものではなかった。


店を出ると、またまっすぐな道をガンガン飛ばしていくのだが、見る見る間に頭上が暗くなってきて、瞬く間にものすごい雨が降ってきた。スコールと言っていいものだ。暑くて革ジャンを半分開けていたのだが、走行しながら閉めた頃までにはしばらく走っていたためずぶ濡れになった。

雨粒が当たって痛い。革を突き通して痛さが伝わってくる。スピードを緩めることなく走っているのも手伝って、雨粒の速度は果たして何キロで当たっていたのだろうか。至近距離で銀玉鉄砲で撃たれたくらいの痛さが全身に当たる。ヘルメットを被ってて良かったと思うくらい。

全員スピードを緩めることなく、カッパを着ることもなく、20秒降ったり5秒止んだりの世界を走り続けること5分くらいだったろうか、空はカラッと晴れた。雲の下を通過したという方が正しいのだろうか。全身ずぶ濡れになったがすぐに乾いた。太陽の力は偉大だ。

そんなことがありながら着いたのはBlue Lake (ブルーレイク)だ。今日はこんな曇り空だったのでグリーンレイクだったが。

ここは幽霊が出ることを売りにしている有名なホテルがある。ここで一休み。バーがホテルの中にあるのだ。


そんでもって我々はそこで一杯やるわけだが、ジャケ買いには至らなかったが私はここでもまたしてもジンジャービアーにした。

バーのトイレを借りると、なんとなく、、、冷えた。もしかして、いたのかな。
暑い夏にオススメの場所なのである。