2014年12月7日日曜日

虫とJazzと。

朝の雲がすっ飛ぶと青空が広がり始めた。午後になると気温もぐっと上がり始め、典型的な夏の晴れの日になった。こんな日は出かけるに限る。

どこに行こうか、と暖機運転を終わったSportsterは気まぐれに町の方面に向かった。70km/hの公道はホリデーのレンタカーが多い。いよいよ本格的に夏がやってきたのだ。

町をくぐり抜け、田舎道へとすっ飛ばす。とはいえ、こちらも車が多い。週末というのはあんまり関係ないのがこの観光地の特徴。世界中からやってくる旅行者は毎日がホリデーなのだから。

こんなに天気のいい日だ、観光客もさぞ楽しんでくれているだろう。
町から15分のところにあるビーチでは早くも水遊びをする人々で賑わっていた。湖だけど、まるで海みたいな感じで楽しんでいる。

横に停めた私もほんのりとそれを眺めて楽しんだ。
しかし、嬉しいことに、止まっていると暑く感じる。夏が本当にやってきた感じだ。


あまりに気分がいいので更に奥に走り出す。久々に乗ったこともあり、アクセルの開け具合が良すぎるくらいだ。あまりしないが高回転でワインディングを右に左に傾ける。絶好調、な感じだ。

いつもの見晴台Bennet's Bluff(ベネッツ・ブラフ)という崖の上までもうちょっとというところ、又しても右腕に「ぢくっ」という痛みが走る。袖口からまた蜂が入ったのだろうか?!

革ジャンの下はTシャツ一枚だ。手首から10cmくらい肘の方に痛みを感じた。パーキングにバイクを止めると、さらに虫を刺激して刺されることのないように体をなるべく動かさないようにヘルメットとグローブをはずし、革ジャンをそーっと脱いだ。

ジャンパーの右腕の中を覗くとなにもいない。しかし、右腕は「ここ、刺しました」みたいに直径1cmほど膨れている。でも、どうやら蜂ではなさそうだ。 なら、なんなんであろうか。ホッとするやらしばし休憩とする。

いつ来てもいいが、今日もいい。

すぐに私のハーレーの後ろに停めたFordのセダンからお腹はぽこんと出ているが、ピンクのポロを着たオシャレなおじさんが出てきた。ドアが開けっ放しの車のステレオからブルーノートでかかるような(知らないけど)とても気持ちのいいジャズが漏れてきた。

真夏の暑い日差しの下で、しばしこの風景とジャズのセッションを楽しんだ。
おじさんはこのジャズを聴きながらここまで来たんだなあとおじさんのドライビングを想像してみたりした。




そのおじさんはさらに先のGlenorchy(グレノーキー)方面へ進み、私はここで折り返すことにした。

折り返しても車は減らない。もう帰り組の車が多いのだ。ランチを食べて戻って来る時間だ。数台をさらっと余裕のある追い越しでかわした。ホリデー車には気をつけるに越したことがない。

5分後、私のヘルメットの中のSenaのインターコムのスピーカーで Red Hot Chili Peppers が吠え始めた頃、なんと今度は右の肩、背中寄りに「ぢくっ」とまた刺されたようだ。

私は体を斜めに硬直させ、みじんも動かないようにワインディングを1分ほど走り抜けるが、まだもぞもぞと何かが肩で動いている感じがする。反対車線の広めの路側帯を見つけて飛び込んだ。

さっきと同じようにそうっと革ジャンを脱いで地面に叩きつけるように捨てたが、まだちくっとする気がする。なので着ていたTシャツも脱ぎ、半狂乱のように革ジャンとTシャツを交互にぐるぐる回しバタバタと振った。

その時、先ほど抜かしていった車が私の横をすり抜けて行ったが、きっと彼らは私を危ない人と思ったに違いない。弁解の余地もなく私は彼らの思い出の1ページとなるのだろうな。

結局、革ジャンからもTシャツからも何も出てきた形跡がなく、一体何ものだったのかがわからないが、運よく止めた場所が綺麗で今日一番の写真を一枚抑えることができた。

夏は虫も私も踊り出す。
いい季節になった。

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