2014年8月15日金曜日

走行会でオアシスを見る

2012年3月のこと。

地元にもツーリングクラブがある。あんまり大勢と走る事もないのだが、今まで5回くらい参加した事がある。今回は初めてKuzzyさんも連れて行った。

クラブのリーダーはC氏だ。C氏は発言が明確であり、揺るぎない決断力を持ち、ユーモアのセンスといい、繊細な気配りといい、全てにおいてリーダー気質があってみんなに人気。バイクでのツーリング経験も世界中に及び、所有するバイクも多いし、話が尽きない。いつも我々の先導を突っ走っているのでスピード違反チケットも一番多くもらっているらしい。皆が慕うのも無理はない。

集合場所はいつものバーの駐車場だ。ガソリンスタンドの目の前なので、そこで満タンにしてからやってくる人も多い。今回は20台くらい集まっている。
3月の終わりとあって秋との境で、みんな走れる時間の限りを感じてか、参加者が多くなったのかもしれない。天気がいいのも後押ししたみたいだ。

どうやら全員集まったらしく、出発だ。一斉にエンジンスタートするとものすごい音になった。次々に目の前のランドアバウトを通過して東に走り出す。

彼らのペースはちと速い。普段のKuzzyさんとの走りだともっとゆっくりなのだが、気を抜くとすぐ離されてしまうので、気持ち急ぐ。どんどん前を走る車達を追い越していく。普段、自分たちのみで走っていると気にならないけど、こうして20台が次々と車を追い越していくと見た目に変である。道路の都合で抜けない所もあるので先頭とはどんどん離れていってしまう。

元祖のバンジージャンプサイトがある渓谷沿いを走る道は嬉しいワインディングなのだが異常に遅い車がいると迷惑も甚だしい。大概に後ろの車を詰まらせているのはレンタカーに乗るアジアからのドライバーだ。これは迷惑だけじゃなくて危険でもある。

基本的に彼らは車の運転能力が備わってない人達なので、脇に避けて後続車を先に行かせるという技術がないのだ。中国系は顎をハンドルの上に乗っけるような形で前のめりになって運転している。インド人の場合はどっしりと後ろに座ってるが車の挙動は一緒である。精神論の違いなのだろうか。自信がない人々と自信に有り余ってる人々。

この南島での交通事故の25%はそうした海外からの旅行客が起こしている事故だと今日の新聞に出ていた。実際にそういう運転に巻き込まれた2輪に乗る夫婦ライダーが死亡したのをきっかけに署名運動が起きている。残されたまだ小学生の子供が世論に訴えたのだ。内容はこれからどうなるかわからないが、レンタカーを借りる前にドライブテストをさせるのか、ドライバーライセンスの提携を諸国と切るのか。私も署名した人間だが、果たしてどのようにすればうまく行くのだろうか。課題は多い。

普段、自国でも殆ど運転しないような人が海外にやって来て開放的になってしまい、やってみちゃおう、なんて思わせてしまっている観光戦略が問題であるとも思う。儲かるのはレンタカー会社と板金屋や修理ガレージだけ。被害者は国民と観光の交通会社だ。

そういえば昨日、町で停まっていた私の車の目の前に駐車したぴっかぴかの4駆のレンタカーから下りてきたのは4人組の日本人OLらしき人達だったが、すっごい駐車テクニックで思いっきり斜めになった車のまま夜の町に笑顔で消えて行った。あの運転の仕方だと、ほぼ間違いなく免許を持ってるだけの人かと思われる。お願いします、誰も傷つけないでください、と祈るばかりだ。



Cromwell (クロムウェル)でWanaka (ワナカ) 方面から来るメンバーと待ち合わせをする。巨大な果物のハリボテの下だ。絶対に見落とせない集合場所だ。

とりあえず、NZにはたくさんの巨大ハリボテがあちこちにある。大きさは10m近いものが殆どだ。その町のアイデンティティを示していて、町の人は誇りに思っている。魚だったり、果物だったり、土地の産物だ。何とも田舎臭く、こういう田舎にしかない。
ガンダムやゴジラもひょっとしてそういう類いのもの?

クロムウェルからは南下して行く。Alexandra (アレクサンドラ) を外して通って奥に進むと荒野に出る。周りは殆んどが茶色の大地で所々が緑のパドック。かっこいい岩がガンガン突き出ていたりするファームの脇を通る。割と平坦でまっすぐな道が多い。

その昔、クイーンズタウンから繋がる石炭鉄道があって今はそのレールが一部取り除かれ自転車道として使われている。Otago Central Rail Trail (オタゴ・セントラル・レール・トレイル)と言うのだ。全体的に平坦な土地というのはレジャー自転車乗りにとってはうってつけで、あちこちの宿に泊まりながら2-3日を使って全行程を走るツアーが凄く盛んである。老若男女が楽しめると言う訳だ。 Kuzzyさんも途中まで走った事があって、まだ続きがあると言っていた。いずれ私も子連れで走ってみると思う。

着いた所はLauder (ラウダー) と言う村にある、そんな自転車乗りがオアシスと呼ぶだろうのカフェだ。このアレキサンドラと言う土地は国中で一番暑くなる所であり、一番寒くなる所でもある、という所なのだ。しかもこの辺り、村がそうそうある訳もなく、一旦出発したならば、次の村まではほんとうに何もないという状態。どっかに着いたら正にオアシスなのだろう。

私たちはエンジン付きなので本当は疲れないがそのオアシスに行って、疲れたなあという振りをする。自転車乗り達に冷やかされながらコーヒーをすするのだ。しかし、たちまち我ら20人余がカフェを占拠し自転車乗り達は肩身の狭い思いをしたかもしれない。

つづく。




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