2014年8月12日火曜日

星空とエメラルドグリーン − 気ままにぐるりと2000km これで終わり



2012年2月。
ゆっくりとした朝だ。いつもゆっくりしているが、今日は特にもっとゆっくり。
実家が中華料理屋を営む彼の奥さんの手料理はすばらしいし、居心地が良すぎちゃうのだ。

彼らはこの後本格的に屋台のラーメン屋を開く事になった。生まれたばかりの3人目の赤ちゃんもいるのに、子供達も育てながらの開業とは、何とも凄いエナジー。

家族皆さんに見送られ、ハーレーおじさんは颯爽と去っていった。
しかし、このメスベン、(もちろん標識はあるのだが)余りに道路上に何の目印もなく非常に迷う。四方とも畑ばかりの角はみんな直角で、どこも同じ様に見える。ただ、北側に頑として座っているMt Huttだけを便りに進む。西に進めば大丈夫だと、先に行ってみると砂利道の農道になってしまったりした。

天気は結構にグレーな雲があって、冷たい風が体に当たる。低気圧なのか。昨日はあんなに天気がよかったのに、と残念ながら走る。Geraldine (ジェラルディーン)はそのまま通過、 Fairlie (フェアリー)ではガソリンを入れるだけで、無口のまま走る。一人なので当たり前だが。

フェアリーからTekapo (テカポ)までのちょうど半分の距離に、Burkes Pass (バークス・パス)という峠がある。緩やかに山あいを登って行って平野部が見えて来ると景色はがらっと変わった。この山脈の向こう側は澄み渡るブルーである。ようやく青空の下を走ると気温も上がる。

ふとバックミラーを見ると山側には大きな掛け布団が掛かっている様に見えた。その掛け布団の上空もきれいな青だ。こんなにも天気は違うものだと感心する。


その後すぐにテカポに着く。
この湖の色はほんとに美しい。晴れの日はバスクリンを入れたようなエメラルドグリーンだったりディープブルーだったりする。夕焼け時にはそれなりに染まる。初めて見た時は本当に感動した。ちなみに曇りの日はやっぱりグレーである。そしてこれもダムでせき止めてできた人工湖である。
実寸大の素敵な箱庭みたいなものだ。

ちょうどランチタイムでお気に入りの和食屋さんへ直行だ。全くいつもここばかりでレパートリーがないのかと言われそうだが、ホントにない。普通においしいピザを出すイタリアンがあるが中華はひどいと聞いたことがあって行った事がないでいる。仕事で泊まる事もあってモーテルに付随したレストランで取った朝食はとても嬉しくないしろものであった思い出がある。町で一番おいしいお店が日本食屋と言う事なだけなのだ。

このテカポ、何かと今、日本で話題に上がるのは星空ネタだ。先ほどの道程でも身を以て経験済みだが、晴天率が国内最高であり、光害も最小に押さえられ、世界からの観光客がこぞってツアーに参加したりするので日本の旅番組が次々と来るのも理解できる。

私は高校生の時(懐かしい!)天文部に在籍し夏の合宿では長野県の入笠山でペルセウス座流星群を追いかけた青春を送ったのだった。(お!! 奇しくもちょうど今夜が極大日(最大で最高)ではないかと、たった今、気がついた。)

確かにあの時見ていた星空とは比較にならない程、こちらの空は黒が濃く星々が明るい。もっとも北半球と南半球で見える星空は違うが、天の川がはっきりと見えるのは驚愕だ。

星空なので、Queenstownでも、もちろん同じものが見える。ただ町が明るいのでテカポと同じ条件くらいの星空を探すとなると山奥まで行かないといけないし、周りの山々が高くて空が狭いという事もある。しかし、最近は夜空を見上げる事もなくなってしまったなあ。

テカポを出発、水路脇を走る。(私道の為、現在通行止め?)あの水色のまんま、水路が流れて、そこで先ほど食べたようなおいしいサーモンが養殖されている。網のすぐ横で釣り糸を垂れている人が少なくない。その養殖場から漏れて来るエサで育つ魚やきっと破れた網の穴から抜け出した魚がいるらしく、それもまたものすごく肥えていて同じくおいしいらしいのだ。

それにしても、ちょっと、えげつなくないかい。釣りをしている彼らは数ヶ月は動かしていないキャンピングカーを川の脇に止めて生活しているかの様に見える。(上の写真は違うけど)

遠くに最高峰のMt Cook (マウント・クック)も見えるすばらしい釣り場である事は確かだ。
こんな所でつったばかりのサーモンを炙ったりしていただいたらそれは最高であろう。今度の夏に家族に提案してみよう、といつも思うのだが。

Omarama (オマラマ)で給油をするとレジで目の前に仕事仲間がいた。マオリのおじさんだがV8以外は車と認めないと言う人だ。100km/hで走行中はアイドリング近くでクルージングしているところがいいらしい。フルレストアが終わって車はぴっかぴかだけど財布はすってんてんと言っていた。


私の来た道をこれから行くと言う。お互いの安全を祈り別れを告げる。
ここまで来るとやっと帰ってきたなあと思う。あとたった200kmで家に着く。
全行程7日間の旅になった。自分の家族に会うのが楽しみだ。






0 件のコメント:

コメントを投稿