2014年6月22日日曜日

夏盛り Dunedin 編

2012年2月。先日からの続きである。 オーストラリア産のShirazを傾けながら思い出す夏の思い出。

Oamaruから南下してくる。ビーチを左手に見ながらすぐ横を走る続ける道だ。なぜかこの国の海沿いは潮の香がしない。海水はもちろんしょっぱいのだが、なぜなのだろう。南島では夏でも乾燥しているので、じとっとした暑さは感じないし、実は気温は高くても30度を超える事はあんまりない。 

これは先日での道のりでの事なのだが、天気も良い日はたいてい黒い革ジャンの下はTシャツ一枚だ。この革ジャンは日本で仕入れたものである。私の体のサイズは165cmで中年太り体型なので、この国のショップではちょうどのサイズが見つからない。肩幅に合わせて着てみると腕の長さはまあまあ合うのだが、丈が長過ぎてまるでロングコートのようになってしまう。 

その体にしっくりくる革ジャンは袖口には絞りが無いので手首との隙間ができる。反対側の手の指が4本入るくらいの隙間なのだが袖口から入り込む風が体を通り抜けとても心地よい。短い夏にだけ感じられる特別な感覚だ。でも、実はそこに落とし穴があったのだ。

夏はこうして私がウキウキして外に出て行くように、虫達の行動も盛んであるようで、ぶんぶん飛び回っている。(そういえばバイク野郎もブンブン族と過去に言われていたと思う) きれいに拭いたバイザーはすぐにバコバコと次から次へと虫が当たることがある。しかもちょうど視覚のど真ん中で。それはハエだったり訳のわからない羽虫だったり蝶だったりトンボだったり黄金虫だったり。もちろんバイザーだけでなく、バイクもメットも革ジャンも虫だらけだ。

果てしなく続くようなストレートがあるOmarama(オマラマ)と言うグライダーで有名な町がある。ちょっとアメリカの荒野を思わせる場所である。(行った事はありませんが、想像上そんな感じ) そこでもちろん時速100キロで走行中、事もあろうに、そんな小さな隙間なのにも拘らず、何かが左手の袖口に入って行った感覚があった。思いっきりホールインワン感覚! 

肘の辺りがこそばゆい感じがあったので、右手でグッと揉んでみると収まった。きっと中でつぶしてしまったのだろうと思って安心して走り続けた。 ちょうど家から200キロ走った所にあるOmaramaでガソリンスタンドにより、給油する。

そういえばと袖の事を思い出し、革ジャンを脱ごうと左腕を袖から抜こうとした瞬間に激痛が走った。 ジャンパーを脱いだ直後にポトッと地面に落ちたのはハチだった。 ミツバチはその命と引き換えに私の左腕に針を残した。直ちに針を抜いたがすぐさま腫れてきた。

こんな小さい町には薬局がある訳も無く、唯一あるNZの国民の友”FOUR SQUARE”というデイリーストアに入って店員に聞いてみると、付ける薬は無いという。しょうがないので冷たいドリンクでひたすら冷やす。結構痛いのだ。それにしても蜂アレルギーが無くてよかった。 

痛さに時折もだえながらのツーリングというものは決して楽しいものではないと実感する。痛さに堪え兼ねて数度となく道路脇に停めてじっとしていた事を思い出す。今考えればアンモニアを掛けるという処置があるのを忘れていた。 翌日はその痛さが痛痒さに変わりつつ海を眺めながら南に向かっていった。

着いた先はDunedin(ダニーデン)大学生の街だ。

国内では5つしか無い国際空港がある。敬虔なクリスチャンが多いのだろうか、立派な協会が多く感じるのはサイズにしてはそんなに大きくない町なのだからだろうか。


世界一急勾配な舗装道がある。Boldwin Stという。もちろん1速で登ってみた。まわりの人それぞれがいろんな挑戦をここでしているのに気づく。黒煙を吐きながら人員満載の自国の旗を立てたバックパッカーのバンとか、ゼエゼエいいながら荷物満載の自転車で上がるオリンピック選手のような2人組とか、若い母親と全力で走り上がる推定4歳男児とか。

この道沿いに住んでいたら駐車場から出てすぐに立ちゴケとか日常なんだろうなとか想像してしまう。ハンドルが下側になってしまってこけてたらきっとレスキュー隊が必要だろう。ニュースにも載ってしまって、一生恥ずかしいバイク乗りのレッテルを貼られてしまうだろうな。なんて考えたりして、急に注意深くなったりする。

 さて、帰路につく。ちょっと遠回りなのだが、畑の中を結構な起伏を繰り返しながらグネグネと走る道を通った。春から夏に掛けては新緑が眩しくとても美しい道だ。日産グロリアの撮影をした時に使ったので思い出深い。
帰りにバイザーが虫だらけになったのは説明するまでもないだろう。


*本日のルートはこちら


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