2017年3月11日土曜日

浮気から本気になるまで。

2017年2月。

やっぱり天気がいい日にはブラっと出てしまう。
相棒は今日ももちろんKuzzyさんだ。
家が2分と離れていないのは偶然なんだが本当に便利。
声かけてすぐに出られる。
二人とも暇であるのだ。


さて、いきなりもうコーヒータイムの時から始まる。ここはGlenorchy (グレノーキー)だ。Queenstown (クイーンズタウン)の家から片道ざっと45分くらいだ。60kmの距離。

いつもの美味しいコーヒーをいただきながらいつものようなおしゃべりをすると時間が流れるのがものすごく早い。天気がいいとまるで自分が健康でいい人になった気分になるから勝手である。

とってもいい時間をこのガーデンカフェでたっぷりと過ごすと、さぞ満足したように我々はすぐ横に停めた2台のスポーツスターを始動する。


ちょっと写真を撮る用があったので、私は村を出てすぐにある高級旅館の横の牧場地に停めた。ここはセレブが泊まるようなところ。ハリウッド俳優なども泊まることもあるという噂だが、おそらく本当だと思う。そういえば牧場には今日は羊がいなかったな。


あちこち写真を撮っていて、ふと気がつくとKuzzyさんが私のにまたがっている。そしてこう言った。



「前にお前に言われたことがすごく気になっててさー、俺のに比べるとスクーターに乗ってるようだって言ってたじゃん。」と。


そう、私のは2007年式1200 CustomでKuzzyさんのは2012年式883 Lowなのだ。
私が買ったのが1年先で、其れに慣れていた私はKuzzyさんの883を初めて乗った時に感じたことは、ローパワーで静かで走りも滑らかだ、というものだったのだ。其れを形容してまるでスクーターのようだ、と言ったものだった。

ちなみに私のはドノーマルだが、マフラーに穴が開けられているらしく(前のオーナーの仕業)とても音が大きいのだ。しかもとってもいい音ではあるのだが。


あまりにも乗り比べしたそうだったので、いいよと言うと、すぐさま目の前の道へ飛び出て行った。帰ってくるとヘルメットの中の顔が上気しているのがわかった。

今まで愛着のあったはずのものに時間の経過とともに新鮮さが失われ、他を見始めてしまうのである。浮気はするとなかなか止められないものである。

Kuzzyさんはその道のエキスパートであるので、車も何台も買い換え、所有し、バイクも数台抱えている。一夫多妻制の暮らしを平気でしているような人である。


その熱意に応えるべく、私は帰りの道のり全て走り抜ける権利をKuzzyさんに与えてあげた。
ヘルメットの下のKuzzyさんのホクホク顔を想像しながらインカムでの会話では、続々と好感の感想が並べられた。
きっとこれがKuzzyさんが大きいのに乗り換えるきっかけになるだろうと思った。

私は普段見ることのない自分のスポーツスターを後ろから見ながら追っかけることに。普段は私が先頭なのだが、なぜかこの時はずっと後ろ。

そうして見る私のスポスタの後ろ姿はなるほどセクシーだなと思った。背も高く、割とすらっとしていて、サドルバッグの革のフラップの端がちょっとヒラヒラして、まるでスカートを揺らして走る姿のようではないか。

そして883Lowにまたがって追っかけると乗車姿勢が低いのでそのスカートを覗くように走ることになる。

Kuzzyさんの心に火をつけてしまったのもしょうがないとその視界から私は判断をした。
きっと本気になってしまうだろう。






2017年2月14日火曜日

どうやら世界一のロードらしい。2

前回の続き。

2017年2月。

Milford Road (ミルフォード・ロード)は特別な敬意を持って走りたいところだ。なんてったってこの道は世界遺産の中を突っ切っているのだ。

なんでも最近CNNが選んだ世界のトップ10ロードトリップでなんでも栄光の1位に輝いたという。まあ、車で、っていうことなんでしょうけど、車で走って気持ちいいところをバイクで走って気持ち悪いわけがない。

万年雪を頭に乗っけた標高2000mを超える岩でできた山々に囲まれ、どこまでも深い森はコケ・シダ類とブナの浅い緑と深い緑が一面に広がり、時に激しく、時に優しく流れる滝や川の水はきっと天使の心のように清らかだ。

こんなところをハーレーで走る楽しさは体験したことのない人にはなかなか伝わらないのかもしれない。

何はともあれ、GoPro映像を撮ってみたのでご覧いただきたい。





 Eglington Valley (エグリントン・バレー)  山間に突然広がる広大な平原。観光客はそれぞれ散らばって写真を撮りまくっている。春先は全て緑の草原になる。





Monkey Creek (モンキー・クリーク) と言っても猿はいない。岩から流れて来る川から汲む水が美味しい。買って来たボトルの中の水を捨てて詰め替えるほど。




このすぐ先はHomer Tunnel (ホーマー・トンネル) と言ってもシンプソンもいない。
トンネルがない頃は奥に見えている雪渓の上からのアクセスだったという。今でも山が大好きなトランパーは命をかけて行くという。



トンネルを抜けてすぐのところ。視界が変わる。



めまぐるしく雲が流れ、岩肌が現れては消えていく。



 名もないだろう即席の滝があちこちの山から滴り落ちて来る。雪解けの季節と雨の日の後の楽しみだ。





大風景を前にこんなちっぽけな存在になる。



番人ならぬ番長じゃなかった、番鳥。
観光客がチップスなど不健康な食べ物をあげてしまうことで、どんどん寿命を減らしていると思われる。もちろん数もどんどん減っている。もっとも、なんでも好んで食べてしまう彼らにもその責任があるのかもしれないが。


なんせ、こうして車も食べてしまうのだ。この後、このアンテナはもぎ取られてしまったという。レンタカー借主のインディアンは慌てふためていたらしい。

写真を撮っている間、彼らにハーレーのシートに穴を開けられはしないかと私もハラハラしていた。車のパーツをほじくるのが大好きなのだ。もちろん食べているわけではないだろうが。

さてさて、トンネルを越えたらいわゆるミルフォードサウンドという海が見えるところまであと30分なのだが、行ってしまったら往復1時間というわけにはいかないだろう。なぜなら休憩をすぐ入れてしまいたがる私のことだ、下のカフェで根が生えてしまったら最後、今日は帰れなくなってしまう時間になってしまうことは確実。

ということで、Uターン。写真もたくさん撮れたし、目的は達成だ。あとは気をつけて帰るのみ。

帰りにTe Anauに着いた時にはさすがに疲れた。それでもってコーヒーが飲みたい。またあのイタリアン、っていう手もあったのかもしれないが、流石に続けてというのも、、、素敵な彼女はもちろん気にはなったのだが、でも一応と店の前を通過してみると、まだ5時過ぎにもかかわらず、店は中国人で道路まで溢れていた。しょうがなく新天地を求めて違うカフェに入った。

行った先のカフェも中国人5人女性がカウンターを占拠していて、なかなか注文にたどり着けなかった。この街も中国人のおかげでも確かに潤っている。日本人の私もそれに少なからず加担しているのだが。
テイクアウェイをすると50c高いのでテーブルにつくことにしてゆっくり休んだ。最近こんな店が結構多い。人が店にいることで「ここは流行ってます空気」を伝えることに協力するために安いのか、それとも純粋に紙コップ代をチャージしたいのか。

20分ほど休んだあと、最後の給油でハイオクガソリンをTe Anauでハーレーに入れると一緒に私はV DrinkというNZ 名産のエナジードリンクをぐい呑した。2本買うとお得になってたのでもう一本は予備ということでバッグに入れた。これで家までのエナジーが保つはず。

夕日と追い風を背中に浴びながらFive Riversまで向かい、国道を左に曲がりQueenstownに向かえば夕日は左側。太陽が時折キラキラと湖に反射して眩しい。右側にはハーレーに乗る自分の長い影が見え、エンジン音が心地よく体を取り巻く。これがまた嬉しいではないか。

はい、ナルシストです。



どうやら世界一のロードらしい。1

2017年2月。

なんだか今年の夏はやっぱり変だ。どうしても夏にならない。衝動的にカレンダーを3枚くらいめくりたい感じの気温と天気が続いている。全くなんてこったい。

しかしながら、チャンスはやっと巡って来た。今は雨が降っているが、どうやら明日は天気が良くなるぞと予報が告げている。夜寝る前になんとなく頭の中で色々と準備して明日のプランを想像をすると嬉しくてたまらない。

朝だ。朝霧が出ているようだがその上空は晴れているのでこれから真っ青な空が予想できる。いえぃ!
さて、昨晩すっかり寝てしまったら、本当の準備をするのをしっかり忘れてしまっていて、朝、慌てる。

アレヤコレヤとサドルバッグに詰め込む。結構入るようで入らない。リヤのショックの部分がカバンの中に張り出しているので、外から見えるほど入らないのだ。

カッパは着たくはないけど山の天気だ、持っていかないわけにはいかない。もちろん、本降りが予想できたなら弱虫なのですぐさま引き返すつもりだが。


小一時間あたふたと準備をしてエンジン始動。暖気もそこそこに近くのガソリンスタンドへ直行。準備がなってないなぁ。

さて、それでもまだなんとなく涼しい朝の時間。
山には雪が載っているではないか!昨夜の雨のいたずらだな。



スキッとした空気が冷たいが気持ちがいい程度だ。景色とB.B. Kingが歌って癒してくれる。



まずレイク・ワカティプ、湖沿いを走る。青空が急激に多くなったので止めてみる。
この湖畔沿いのワインディングを抜けると湖の舳先に村がある。Kingston (キングストン)というのだがこの村を過ぎると一気に風景が変わりしばらく平坦な牧草地が目に入る。ここにはジェットコースター並みの上下があるストレートがあるのだ。いつもながら楽しむ。




15分も走るとまた小さな村がある。最近お気に入りのトイレによる村だ。Garston (ガーストン)という。今朝も何台もの車が停車しており、トイレは賑わい、お店もなんだか賑わっている。ほんの2年前とは大違いだ。一体何があったのだろうという感じの変わりようである。中国語に混じりスペイン語?も今日は飛び交っている。


さて、先を急ぎたい。なんてったって今日はミルフォードサウンドまで行きたいのだ。
道程はざっと往復600kmだ。いや、手前のトンネル向こうまで行ければいいから、すると大体500kmになるだろう。


Five Rivers (ファイブ・リバーズ)というところにあるカフェを尻目に道を右に折れ(ここも朝から混んでいたなあ)Te Anau (テ・アナウ) という町に向かう。ここで腹ごしらえをしたいのだ。ここまではなんとも退屈な道だ。まっすぐであり、景観もそれほどではないが警官がいるのは確かだ。防風林の茂みに隠れている覆面パトカーに愛嬌を振りまきながら通過する。ここは間違いなく海外から来ているツーリストが入れ食いなことでしょう。交通量も増えたのできっとその数も増えているはず。

でも、正直、こんなド・ストレートで危険が何もないところなのに100km/hの制限速度ってどうなのよってと思うが。このスピードだってきっと設定されたのは大昔のはず。今現在の車の性能を考えればもうちょっと早くてもいいと思うのだが。今の車じゃあっという間に達してしまうスピードなのに。

しばらく行くと、いやーな雲が行く手の空を覆っているのが見える。おそらく10kmくらいの先だろうか。Mossburn (モスバーン)という村を超えてからのことだ。この辺はなんとなく半端な高さの丘や山があるので気温が変化しやすくて雲の発生も多いのかもしれない。

どうしようか、ここまでか、、、と南の空、要するにミルフォード側を見るとそれでもそっちは晴れている感じだ。であれば行くしかない。
仕方なく雨の中そのまま突っ切ることにした。でも、案外に軽いシャワーでポツポツ当たる程度で通り抜けられた。天は我を見捨てなかった。


ともあれ、Te Anauに到着。見事に晴天。
この街もどんどん変化している。ずいぶん久々に来た気がする。

2台でいたハーレーライダーが地元で有名なパイ屋でランチをしていたので、混ざろうかとも思ったけど、目的があったのでスルー。

実は前回訪れた時に寄ったイタリア屋がすごく美味しくて、また行ってみたいと思っていたのだ。店員が本場のイタリア人なのか、英語があっちなまりでかっこいいのだ。やはりその方が本場の味が味わえる気がする。

店のすぐ目の前の歩道部分にアルファロメオ・スパイダーとvespaがオブジェのごとく停めてあり、とてもイタリアンな雰囲気がいいのだが、私の思いっきりのアメリカンも停めてしまった。

まだ開店し手間もない頃に入ったのかフロアをモップで拭いていた女店員が優しい笑顔で迎えてくれた。すっごい美人!でもイタリアンじゃなくてアメリカンの顔してる。聞いて見るとKiwiだというので、さらにすっごく驚き。なんでも一流モデル事務所に所属していたという。なるほど。





そんな美しい彼女が忙しくあちこちと働く姿にうっとりしながら食べたパスタは最高の美味しさ。また来る機会を作らねばと、固く誓った昼下がりだった。


さあ、いよいよミルフォード・ロードに出発だ。

続く。




2017年2月2日木曜日

南奔東走

2016年12月。
師走とはいうもので、あっちこっちへと走る季節なのだな。
今年はなんか変である。真夏なのにずっとずっと寒いし天気が悪い。
でも今朝は天気がすこぶる良いので、ぜひ今日はどこかへ出かけたい。ご近所のKuzzyさんに連絡を入れると午後からなら走れそうと言う。うーむ、今日は待っていられなーい、そそくさと一人で出かける案を優先した。

頭の中での妄想でもうすでにあちこちの道路が見えているのだ。あっちへ行ったら良いのかこっちへ行くべきなのだろうか、迷いながら革ジャンを着込み始める。この瞬間もまた悪いものではないのだ。

頭でまだ決まらずにエンジン始動させて暖機運転。エキゾーストからの元気な音が嬉しい。燃料はまだ入っているな。
家を出てすぐにハイウェイにあたるのだが、なぜか一方がすごく混んでいる。いきなり渋滞にハマるのも面白くないと空いている車線に合流した。南に向かった。

クイーンズタウンは今や世界的に有名な観光地になっていると世界各地で騒がれているとかいないとかだが、実は道路事情は今現在はその歴史において最悪の状況となっている。

そのむかーしむかしに作られたデザインがそのままなので、増えた交通量が捌けないのだ。国の機関はまるでそこに住む住民の声を無視するかのごとく、一向に工事が始まらなかったのだが、ここへきてようやく動き始めた。工事が始まったら始まったで狭い道路はさらに狭くなり、非常に惨めな状態になって久しい。

この今、渡る橋も片側一車線から双方向の立派な(と言っても普通な)ものに変わるのだ。予定通り終わらないのはきっと予定通りである。


さて、久々に走る南向きだ。右手に湖を見ながらずっと沿って走るのは気持ちがいい。北側に向かって走るGlenorchy(グレノーキー)と違ってあそこまでの流麗なダイナミックさはないのだが、こちらはこちらでシャープでアスファルトに集中できる道だ。勝手に言うなれば、あちらが女性的で、こちらが男性的な感じがする。

このまま大風景の望める世界遺産のMilford Sound (ミルフォードサウンド)まででも行ってしまおうかという勢いで力がみなぎってきた。たったの3時間である。ちょうど小さな村Garston (ガーストン)に着いたので早くも一休みでトイレに寄る。近いのだ。

こんな小さな町だけれども、増えた交通量が語る様に観光客がやってくるのか、店が増えたり立派になっている感じがする。空いていなかった店も息を吹き返し営業開始となっている感じが見受けられた。入ったことがないが今度入って一杯やってみようかなと思わせるGarston Hotelの前に駐車した。


それから更に15分ほど行くと前方に濃いグレーの雲が広がっている。風も正面から吹いてくるではないか。しかもそれが結構強い。
ひ弱な私は、一瞬にして意気消沈してしまった。

次の村Athol (アソル)に着くとちょうど電話がなる。Kuzzyさんからだった。今から家を出られるので!とやる気満々である。

ちょうど天気も風も敵になっていることだし、これは助け船と思うことにした。状況を説明すると、では一緒に東に向かおうかということになり、速攻Uターン。今度は北に向き、追い風が快適に私の背中を押してくれて心地よい走りで帰路につく。とても楽チンである。


それぞれ昼食をささっと各家でパッと済ました我々はすぐに合流し、東へ向かう。この街から出るには3方向しかないのだ。さて、横風を受けながら我々は行く。

道中はいつものインターコムで前回一緒に走った時の思い出を話したり、これからの将来のことを真面目に語りながらだったのだが、どうやら、我々は過去の記憶も怪しいし、将来のこともかなり怪しいことがわかった。。。

ボケも入っているのか、いつの間にか川沿いを走りぬけCromwell (クロムウェル)を過ぎ、右手に長い湖Lake Dunstan (レイク・ダンスタン)を見ながら着いたところはClyde (クライド)と言う村。ざっと家から1時間だ。





なんか絵になるのでいっぱい撮っちゃう。


何度か来たことがあるカフェでの一杯。この街の変わりようも驚くくらいだった。どうしたの?ってくらいアレヤコレヤが出来上がってたり直されている。新しい区域もあって映画館やらレストランやらなんでもかっこいくなっているではないか!

コーヒーを飲み終わる前にカフェのオーナーらしきおばちゃんが隣の席の大きな日傘を片付け始めた。「もう時間なのかな?」とお尋ねすると、「まだいいよ」とニコニコしながらどんどん周りを片付けていった。

なんだか気温が上がり始めた。しかも異常なくらい急に温度が上がっている。日本の夏のクーラーで寒い銀行の自動ドアが開いた瞬間の様な感じ、とまではいかないが、革ジャンを着ていることなどできやしない。こんな時に限って革パンまで履いているときた。あっつい!

店じまいしたいおばちゃんの圧力をガンガンに浴びている我々は冷たいお冷のお代わりが欲しかったのだが、ここは大人になって我慢して店を出ることに。



ここはオリジナルの古い町並みの場所場所。汗をかかないように革パンを引きずるようにしながらゆっくりと歩く。


名店 Olivers Restaurant まだ行ったことがない。伝説的なカリスマおばちゃんシェフがいたとか。ちなみに今そのおばちゃんはOaramruに出店している。


村のメインストリートのはず。


観光客の車が多いのにびっくり。有料ロードパーキングになる日も来るのか??


古いレストランが改装されてて美しいガーデンで食事ができるようになってた。この前までは塀が倒れる可能性あり、とかいう張り紙がしてあったのだが。


Oliversには馬小屋を改築した部屋に宿泊もできる。もっと豪華な部屋もある。中を見学させてくれた。


オブジェ化した自転車。壁に張り付いていた。


その壁と壁の間にできている植物のアーチをくぐるKuzzyさん。なんか嬉しそう。

またなんだか来てみたくなった町の一つになった。今度はもっとゆっくりでワインの一杯も楽しみながら。

そうして2016年は終わった。






2016年12月13日火曜日

リベンジと懐かしのマウントクック

201612月。

早くも年の瀬になっているのにふと気づいた。いけない。夏になっているにもかかわらず全然乗ってないではないか!
ということでハーレーにまたがることにした。

実は先月に颯爽と出かけたはいいものの、あまり天候に恵まれず、思いっきり近回りをして帰ってきてしまったので、今回はちゃんと目的地を目指した。そこはMt Cookマウントクックだ。

何年振りであろうか、前に一度やはりKuzzyさんと行ったことがある。バイクだと近いのに遠い、そんな感じの場所なのだ。


家の近所のガソリンスタンドで集合。空気圧やら服装やらインターコム、健康状態、やる気度、財布の中身等諸々のチェックをする。

走り始めると俄然元気な青空に意気揚々となる乗りやすい二人である。日は上がってだいぶ経つのにまだちと風が冷たい。革パンツの下の素足をひんやりとさせる。タイツ必要だったかも。

Kawarau カワラウ渓谷のワインディングを気持ち良く走行中、紺色のカレラがパトカーに捕まっているのを見た。先ほどの直線でそういえばものすごい勢いですっぱぬきしてったやつだ。果たして何の違反をしたのだろうか。

Cromwellクロムウェルを超えてLake Dunstanレイク・ダンスタンを左目に見ながら沿いを走る。ここも実はとってもいい道だ。ゆったりと音楽聴きながらのクルージングなどは最高だろう。でも我々の会話は「さみー。トイレ行きたい!!!そこのトイレでストップして。」と私がねだる。足が冷えたせいだ。


前回は停まったTarrasタラスのカフェだが今回はもちろんパス。そうして一息目の場所はOmaramaオマラマだ。いつものカフェで一休み。
何だかえっらく混んでいる。ちょうどそういう時間に当たったのもあったのだが、店も改築中で手狭になっているらしい。
偶然にも地元クイーンズタウンの知り合いの女の子が遊びに来てた。本当にこの国は狭い。200km街を離れても知り合いに会う。
ところで珍しく小腹がすいた私はここのお気に入りのホームメイドのチキンクリームパイを食べた。やっぱりここのは絶品、上手い。


顔見知りの店員に聞けば何でも今話題になっているマクラーレンの団体さんがもうすぐここに着くという。国内でニュースになっていたのだが、彼らは船で外国からやってきてニュージーランド全土AucklandオークランドからQueenstownクイーンズタウンまで走り抜けるツーリングをしている最中らしい。ぜひ見てみようとKuzzyさんと楽しみにしていたのだが、我々も先を急ぐ身、そんなにのんびりできるわけでもなかった。


しょうがなく外に出て出る準備をしていると、キタキタ。ぞろぞろと超かっこいーくてカラフルな車が並んで5、6台入ってきた。カフェにいた客の全員が羨望の眼差しをそれらに向ける。車を見られているのはまだいいけど、出てきた人たちがガン見されるのは一体どんな気持ちなんだろうか。何億円の車の所有者達だって。
ぜひお友達になりたいと思った。




その間に何と大きな地震が南島の北東、国道1号の通るKaikouraカイコウラ周辺であって道路は閉鎖、予定を大きく変更する羽目になったはずである。遠回りだが、さらにすごい西海岸の景色を見てきたはずだ。

Mt Cookに向けてカフェを出ると、来るは来るは。まだまだマクラーレンの列がガンガン来る。何かがあったのかって思うくらい。いや、あったんだけど。総勢30台ほどあったと聞いている。

実はこれは後日談だが、この中の1台のしかも世界に数台しかないと言われているマクラーレンF1が、Queenstownから私の庭とも言えるGlenorchyグレノーキーへ行く道のブラインドコーナーでスピンによるスリップサインを80mも残して道路溝に落ちたという事故が全国ニュースで流れていた。ドライバーはオーストラリアからの65歳のおじいちゃんらしいということ。左側コーナーの外に落ちたので対向車による被害も無いようで、ご自分もそれなりに大丈夫だったらしいのですが、お気の毒様。

制限速度は守っていたという発表が。。。そんなコーナーでも制限速度が100km/hなので。。。NZの道交法の基準って一体、、、。

さて、一行はMt Cookを遠くに見つめながら走り、それはどんどん近くなっていった。最近の悪天候続きのせいで、12月だというのにやたらと山の白い範囲が広い。今回写真は撮ってないのだが、この時期におきまりのパステルカラーのルピナスが道路脇を綺麗に飾っていて、そのアンバランスがまた美しかった。






そして、Mt Cookからの雪が溶けてできたLake Pukakiレイク・プカキに着いた。この天気だもの、まずは最南端からのルックアウトから見てみたいと私は駄々をこね、Kuzzyさんを誘導した。

ほら。良かったでしょう。
珍しくセルフィも撮りましょうと。二人とも照れ笑い。

そして30km続く眩しいバスクリン色の湖を右手に見ながら走る。
今日は本当に素晴らしい。湖面がとても静かで反射している。こんな静かな時に来たのは私は2度目だ。





しばし感動。


ちょっと思い出に残るKuzzyさんの走行シーンの撮影。いいところの道で往復してます。



こんな道をぶっ飛ばさないように大人にクルージングで。




そして我らはHermitage Hotelのカフェで遅めのランチ。
ゆったりしようってことで乾杯。この国ではオッケー。




この景色を眺めながら暑い日差しの下冷たいビールで一杯やるのはさいこおー。
ここのホテル、レストランでは最高ランクの食事を提供しているのだが、このカフェの方はといえば、数年前は高くてまずくて本当に酷いものだったけども、ここ近年、非常に良くなりびっくり。きっとたくさんのご意見で変わったのだろう。Trip Advisorとか、そういう評価サイトが増えていいことも増えたな。

ビールx2、ピザ、シーザーサラダ、チップス、これ2人分全てで約$60、この国ではまあ平均的な値段と味に向上してました。でも、なんせこの景色を眺めながらですから、それでも安いものと思うべきなのでしょうか。

Kuzzyさんの持ってる双眼鏡で山頂を。よくあんなところを人々は登るもんだ。ちなみに3754mとほぼ富士山と同じ標高。でも険しさは見ての通り全く違う。


そんで、あそこでとことん訓練して初めて世界最高峰エヴェレストを登った人が、この人、エドモンド・ヒラリー。


このホテルの中には彼の偉業にちなんで作られた博物館や映画やらがある。一度ここに泊まってゆっくり見てみたいものだ。が、高そー。


帰りに最後の1枚をカメラに収めると「サイコーな日だったね」と50回くらい言いながら250kmの道のりを戻った。



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